2015 Fiscal Year Research-status Report
二重標識水法による成人運動機能障害者におけるエネルギー必要量の算出法の確立
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26350151
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
岩崎 信明 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (70251006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 豊 茨城県立医療大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10392200)
沼野 智一 首都大学東京, その他の研究科, 准教授 (10399511)
大和田 浩子 山形県立米沢栄養大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90316414)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エネルギー代謝量 / 運動機能障害 / 間接熱量測定装置 / 開放性キャノピー / 二重標識水法 / DLW法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では運動機能障害を有する小児のみならず成人を含めて、個別の栄養管理法を確立するために推定エネルギー必要量のより正確な算定法を開発することを目標とした。 これまで、小児にとって負担の少ない通気性フードを用いて間接熱量測定装置によってエネルギー代謝量の測定法を開発してきた。本年度は企業と協力を進め、新たな形態の通気性フードを作成し、気管切開がなされている被検者に対しても間接熱量測定装置によってエネルギー代謝量を正確にかつ負担少なく測定することが可能となった。 今回のフードは、頭部と体幹別に透明なフードを作成し、強力な磁石によって接続できるように工夫した。体幹パーツの足方向、上肢の入口部はディスポーザブルのビニールによって空気の流入を防ぐこととした。上肢入口部は、被検者の体格に応じて単なる蓋、少し凸となる蓋などのパーツも用意し、ビニール接続のパーツを含め、磁石で簡便接続ができるようにした。これは、運動機能障害を有する場合、成長障害によって成人期においても小児期の体格のままのことがあること、側弯などによって胸郭変形が認められることなどがあるため、対象者毎に大きく異なる体格や形態に対して対応可能なフードを作成することができた。測定を開始し短時間に効率よく測定ができたことを確認した。 安定同位体で標識された水を用いる二重標識水(Double-Labelled Water:DLW)法を対象被検者に実施した。経管栄養法が用いられており1日の摂取エネルギー量がほぼ正確に算出できる10名を対象とした。H218Oを0.12g/kg、D2Oを0.3g/kg経鼻胃チューブないし胃瘻を通じて胃内に注入し、注入後24時間、48時間、7日、8日後に採血した。DLW法で算出されたエネルギー消費量は910±130Kcal/日でエネルギー摂取量との差異は15±8%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DLW法によって尿のサンプルの採取が比較的困難な重度の運動機能障害においても血液サンプルを用いた方法によって、尿と同様に血液サンプルでも正確な代謝量の測定ができることを示した。本法を用いて胃瘻や経鼻胃管などを用いて経管栄養をしている最重度の運動機能障害児(者)に対して測定を試みて、測定することが可能であることを確認した。 他方、DLW法に比較して簡便で負担の少ない間接熱量測定装置については、重度の運動機能障害である場合に一般的に行われているマスクを用いた呼気ガス採取が困難である場合が多く、また、被検者の精神的な緊張などに測定値が不正確になる問題を有していた。これに対して、通気性フードを用いた方法を応用するとともに、さらに、気管切開を有するような、さらに、重度の場合の測定についても、通気性フードを新たに開発することで測定を可能とした。今後、手法の開発が完了し、被検者への応用をさらに進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、DLW法のために繰り越した研究費を用いて、さらに、多くの被検者へ対してDLW法と間接熱量測定の導入を目指していく予定である。本年度の通気性フードの開発によって、どのような形態の運動機能障害においても間接熱量測定が可能となった。これによって、本研究の目的である、個別の栄養管理法を確立するために推定エネルギー必要量のより正確で簡便な算定法を開発を目指すことができる。
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Causes of Carryover |
本研究における重要な柱であるDLW法については、これまで、倫理委員会の承認、被検者選定、そして、DLW法と同時期におこなうことが必要な間接熱量測定に用いる通気性フードの開発を先行させていた。本研究では特にDLW法における試料代と同位体測定に高額の費用が必要となり、本年度は通気性フードの開発に研究費を施行したため、研究費が全て執行することがなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に繰り越した研究費を用いて多くの被検者に対するDLW法をおこなうことで研究費を施行していくことになる。
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