2014 Fiscal Year Research-status Report
軟骨由来成分の摂取による糖鎖合成因子の発現変動について
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26350153
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
神山 伸 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (70525401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖鎖 / コラーゲン / グルコサミン / グリコサミノグリカン / 関節炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、細胞外マトリックスの構成成分が癌細胞の増殖に与える影響を中心に検討した。大腸癌細胞であるDLD-1細胞の増殖に与える影響を、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、フコイダンの3種類の硫酸化糖鎖について検討した結果、ヘパラン硫酸とコンドロイチン硫酸は低濃度では増殖を促進したが、フコイダンは低濃度から大きく細胞増殖を阻害し、癌細胞の接着と細胞遊走能の両方を阻害した。 DLD-1細胞はWntシグナルの抑制因子であるAPCの変異を持つため、Wntシグナルが異常亢進している。したがって、硫酸化糖鎖がAPCの変異を持つ細胞でもWntシグナルを抑制できるかどうかを検討した。ウェスタンブロットによるβ-カテニン量の定量およびレポーターアッセイによる転写活性では、フコイダン添加の影響は認められなかった。フコイダンは細胞周期を停止させることにより細胞増殖を抑制するとともに、アポトーシス誘導により細胞死を増加させることを示した。 癌細胞における細胞外マトリックス形成に関わる遺伝子の発現状態に関しては、リアルタイムPCRによる測定系を構築した。軟骨由来成分によるこれらの遺伝子の発現状態の変動に関して、現在培養細胞を用いて検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度は研究基盤として、細胞外マトリックス成分合成因子の発現測定系の構築と、癌の転移・増殖とそれに関わるシグナルについての基礎知見を中心に検討した。軟骨由来成分の摂取が炎症軽減などに与える影響に関しては、27年度以降に検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、軟骨構成成分としてコラーゲンとグルコサミンを中心に検討する。27年度はこれらの成分の摂取が関節炎を中心とする炎症の軽減に働くかどうかを動物実験によって検討し、炎症に関わる糖鎖合成因子の発現変動を確認する。
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Causes of Carryover |
当該年度で動物実験による確認を予定していたが、実施するに至らず次年度に持ち越しとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究において、持ち越しとなった動物実験による確認を併せて行う。
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