2015 Fiscal Year Research-status Report
軟骨由来成分の摂取による糖鎖合成因子の発現変動について
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26350153
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
神山 伸 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (70525401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コラーゲン / 糖鎖 / 軟骨 / 関節炎 / グリコサミノグリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨モデル細胞であるATDC5細胞を用いて、コラーゲン由来のペプチドが軟骨細胞の初期分化に及ぼす影響を検討した。コラーゲン摂取後に血液中に存在する代表的なジペプチドであるプロリン-ヒドロキシプロリン(Pro-Hyp)とヒドロキシプロリン-グリシン(Hyp-Gly)が軟骨細胞への分化を促進するとともに、軟骨の構成成分である細胞外マトリックス成分の合成を増加させ、軟骨形成を促進する可能性を示した。細胞のコラーゲン量とグリコサミノグリカン量は、ともに1mMのPro-HypあるいはHyp-Glyの存在により有意に増加した。リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現量の比較では、1mM Pro-Hyp及び1mM Hyp-Glyは軟骨特異的転写因子であるSox9の発現を増加させるとともに、Ⅱ型コラーゲンa1タンパク質及びグリコサミノグリカン修飾タンパク質であるアグリカンの発現を増加させた。糖鎖合成因子に関して、その発現量に大きな変動は見られなかったが、コンドロイチンのグリコサミノグリカン伸長酵素であるChSy-1の発現は1mM Pro-Hypの存在により有意に増加した。 さらに、コラーゲン誘導性関節炎モデルマウスを用いて、コラーゲンペプチド投与の有効性を検討した。無感作群、コントロール食群、アミノ酸投与群、コラーゲンペプチド投与群を比較したところ、コラーゲンを構成するアミノ酸あるいはコラーゲンの投与により関節炎の発症が促進された。軟骨における糖鎖合成因子の発現状態は、アミノ酸あるいはコラーゲンの投与による明確な影響は認められなかった。これらのことから、コラーゲンを構成するアミノ酸あるいはコラーゲンの投与は関節炎の軽減作用のみならず、場合によっては重症化させる可能性があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度は軟骨細胞モデルであるATDC5細胞を用いた検討と、コラーゲン誘導性関節炎モデル動物を用いた検討の両方により、コラーゲンペプチドの関節炎に及ぼす影響を調べた。ただし、予期しない結果も得られたため、その有効性に関してはさらに検討を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、軟骨構成成分としてコラーゲンとグルコサミンを中心に検討する。28年度は27年度の結果を受け継いで、コラーゲンペプチドが軟骨の初期・後期分化に及ぼす影響を検討するとともに、関節炎自然発症モデル動物を用いてその有効性を確認する。
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Causes of Carryover |
コラーゲンペプチドの投与が関節炎の重症化に働くという予期しない結果が得られたため、翌年度さらに検討を進める必要性が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関節炎自然発症モデルを用いた検討により、さらに詳細に検討を進める。
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