2014 Fiscal Year Research-status Report
理想のボディスタイルと授乳婦の体型や食事量の関連が母乳成分や授乳行動に及ぼす影響
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26350155
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
廣瀬 潤子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (40381917)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 授乳婦 / 体型 / 食事調査 / 体組成 / 体型意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
母乳育児支援助産院に来院した授乳婦で研究参加に同意の得られた162名に、体組成測定、身体計測、簡易型食事歴調査(BDHQ)、体型に関するアンケートを実施した。 対象者は、年齢33.3±4.4歳、子の月齢は5.6±5.7か月、非妊娠期のBMI=20.3±2.5(kg/m2)、栄養補給法は母乳栄養のみ112名、混合栄養50名であった。現在の体型区分は、やせ(BMI18.5未満)23.4%、ふつう71.6%、肥満(BMI25以上)5.0%であった。妊娠中に増えた体重は3.17±2.82か月でもとへ戻しており、体重を戻したいと考えていた期間は6.01±3.17か月と回答しており、実際は希望より早く体重が非妊娠期まで戻っていた。 産後0か月と産後6か月以上の授乳婦の体組成を比較すると、除脂肪量、筋肉量、推定骨量は差がなかったが、体重、体脂肪率、脂肪量は6か月以上の授乳婦が低値であった。母乳栄養と混合栄養実施別で比較すると、どの月齢時点においても体組成に差は認められなかった。 体型に関する意識では、非妊娠期体型がやせまたは普通の授乳婦で、授乳を行うこの機会に非妊娠期よりさらに体重を減らしたいと考えている割合は54.68%、維持26.62%、増やしたい18.71%で、痩せる必要がないと考えられる授乳婦の半数以上が体重を減らしたいと考えていた。痩せる必要がないのに痩せたいと考えている群と痩せる必要がなく痩せたくないと考えている群では、基本事項や体型・体組成に差は見られなかったが、体型に関する認識や意識は、痩せたい群において、自分に近い体系シルエットを選ぶときにより太いシルエットのものを選んでおり(p<0.05)、マスメディアに影響を受ける程度も高かった(p<0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に行うべき、調査方法の確立、調査項目の精査・倫理審査委員会承認を終え、すでに調査を開始しており、160名を超える授乳婦のデータを収集した。 また、母乳中成分測定についても、調査実施助産院において採取方法の確認、測定方法の確立、予備的測定はおおむね完了している。 上記の状況を踏まえ、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、すでに実施している体型測定・体組成測定・食事調査・体型意識調査の被験者を増やすとともに、母乳中の成分測定を実施する。授乳婦の食事・体型と母乳中の成分の関連を検討する予定である。 また、経時的な調査を実施し、授乳婦の体形変化・食事変化・体型意識の変化、それらに伴う母乳中成分変化を検討する。 経時的な調査実施に当たっては、調査実施助産院との打ち合わせを終えており、早々に開始予定である。
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Causes of Carryover |
母乳中の成分測定が予備調査のみになったため、試薬等の利用が少なかったが、平成27年度に測定を大規模に実施する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
母乳中成分測定を50検体を目標に実施する予定である。測定は、富士ドライケムを使用した「複数成分・微量同時測定」を行う予定である。本機器は、血液成分の測定に開発されたものであるため、母乳成分について測定可能かの検討をすでに開始しており、初年度中に定量系を確立する(測定予定成分:たんぱく質、コレステロール、トリグリセロール、Ca、K、Na、Cl、Mg)。これら以外の母乳成分(乳糖など)およびストレス指標の唾液中IgA、コルチゾールについては、マイクロプレートを使用した微量定量系での測定を実施予定である。
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