2016 Fiscal Year Research-status Report
包接機能食品実用化のためのin vitro吸収評価法の開発と新規錯体への実践研究
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26350156
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
土江 松美 大阪市立大学, 大学運営本部, 技術職員 (90433317)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機能食品 / 分子包接 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である体内での消化吸収系での包接機能食品の分子に関わる包接と徐放効果のモデル構築のために、本研究期間前半に於いて、γ-CDとR(+)リポ酸についての実験評価に基づき、有機溶媒分子が強力な徐放剤であることを証明した。しかし食品分野では、人体の安全性と消化管内のベースとなっている水溶系が必須であるため、この条件に合う徐放剤探索について検討を続けてきた。 その結果、当初の予想通り、胆汁酸の主成分であるグリココール酸塩について、β-CD,γ-CD共に強力な包接効果を見出した。同様にα-CDに関しても包接効果を見出そうと各種条件を検討したが、明確な包接が観察できなかった。これはα-CDの包接空間半径がβ-CD,γ-CDに比して最も狭いという物理的制約から、CD空間内への分子の移動速度が大きく低下するためであろうと考えている。従ってこの時点で、当初の目的であったオールマイティな徐放剤を追求する方向から、α-CDの系では複数の因子の相乗効果での徐放系を適応させて検討する方向に切り替え、比較的細長くもぐりこみやすい形をした分子(リン脂質)について、同様の実験を実施中である。 他方、新規機能錯体の合成も進めており、金属として、塩化第二鉄と硫酸第二鉄を用いての合成条件の最適化を進めている。現在、複数の合成物が生成し、再現性に改善の余地を残しているため、更なる収率の向上と安定的合成条件確率を目指していく。 今後は合成を完成させた錯体についての包接化合物を合成し、これまで確立した包接・徐放系に応用して、そのモデル化を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は2016年度までの予定であったが、研究期間中、1年にわたり学舎耐震工事のために研究を実質上中断せざるを得ない状況となり、その遅れを抱えたまま現在に至っている。今回基金としてさらに1年の研究期間延長許可をいただいた。研究課題期間中の空白分を取り戻していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、包接と徐放の平衡状態の解明のため、HPLCにPDAを設置し、多波長同時検出が可能な分析環境を整えられた。今後はモデル系内でのダイナミクスを詳細に分析していきたい。
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Causes of Carryover |
今年度はほぼ予定通りの使用額であったが、前年度分からの繰越額があったため、その額に相当する分が結果的に次年度への繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間を1年延長することで、その1年間の研究で必要となる研究費として、試薬、器具等の実験用消耗品類及び、成果発表用旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)