2015 Fiscal Year Research-status Report
NASH発症予防における希少糖D-アロースの投与効果および栄養療法の探索研究
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26350158
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
中村 強 福岡女子大学, 文理学部, 教授 (30581912)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / Serum Amyloid Protein / DNAマイクロアレイ / 炎症状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
NASH病態モデルであるSTAMマウスを用いた研究において、希少糖D-アロースは脂肪肝の抑制さらには肝機能障害も抑制する効果を見出した。このことからD-アロースはNASHの発症を予防する効果が期待された。しかし、このD-アロースの作用機序は活性酸素の産生抑制に起因すると推測されるものの、その詳細は不明である。そこで、本年度ではDNAマイクロアレイ解析法を用いた遺伝子レベルでの機序解明を目指した。 炎症に関わる遺伝子として、Serum Amyloid A1(Saa1)の発現量が約3分の1にまで、Serum Amyloid A2(Saa2)では、コントロール群の約2分の1にまで、ともに著しく減少していた。ヒトでは炎症マーカーとしてCRP-1が定常的に測定されているが、マウス/ラットでは測定できない。今回の結果からNASHの炎症状態はSaaの測定にて鋭敏に評価できる指標となる可能性が示唆されたことから、今後Saaの血中濃度測定にて試験物質の抗炎症効果を評価していきたい。 加えて、D-アロース投与の効果の再現性を確認するとともに、有効性を示す投与量に関する検討を実施した。しかし、D-アロース投与群の2群とも多飲・多尿の傾向が見られ、またケージ内の環境は劣悪で、NASH病態は極めて重篤であった。結果として、D-アロース投与の効果は観察されず、D-アロース投与のNASH発症抑制の効果の再現性ならびに適切な投与量も見出せなかった。明確な改善策は確定できないものの、何らかの改善策を踏まえで、今後再検討すべきと考える。 さらに最近ではあるが、NASH病態モデル(STAMマウス)の発症が安定しないとの結果が発生しており、安定的な作製方法に向けた改善、もしくは別のモデル作製法につき、検討の必要性を感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
D-アロースのNASH発症抑制効果を遺伝子レベルで検討した。その結果、血清Serum Amyloid Proteinの肝臓遺伝子発現量が顕著に抑制されるとの結果を得ている。効果の機序解明に今後繋げていきたい。 ただし、適切な投与量及び効果の再現性につき、検討したところ、NASH病態モデル(STAMマウス)の発症が安定しないとの結果が発生している。モデルの作製法につき再検討の必要性を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は肝炎研究を継続するものの、D-アロースの限定することなく、糖質摂取が肝炎に及ぼす影響を検討することとする。すなわち、フルクトースもしくシュクロース(甘味料)の継続的な経口摂取が脂肪肝もしくは肝炎を発症するとの懸念を検証する目的で、かつ本研究室のこれまでの手法を活用して、検討することとする。 加えて、昨年度の検討課題であり、今後ともNASH研究を進捗させるため、安定的なモデル作製に向けた改良(STAMマウス)及び新規なモデルの作製法(フルクトース負荷ラット)を検討する予定である。
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Research Products
(4 results)