2016 Fiscal Year Research-status Report
大学生に対する食育の検討‐味覚能力と食行動の視点から‐
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26350165
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
濱口 郁枝 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (80521997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 豊子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (90047308)
東根 裕子 大阪青山大学, 健康科学部, 教授(移行) (40211502)
作田 はるみ 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (40369723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 味覚教育 / 官能評価 / 五感 / 質問紙調査 / 調理学実習 / 給食経営管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.調理学実習における味覚教育 大阪府と兵庫県内の2大学における2015年度前・後期の調理学実習履修者女子105名を対象とし、調味能力や汁物の塩味嗜好について効果を検証した。味覚教育として、汁物の調味後の濃度確認や、五感を使って料理を味わった感想を記録させた。授業開始時と終了時に0.7、0.8、0.9%の塩分濃度のすまし汁の好みについて官能評価(順位法)を行ったところ、味覚教育後では、90.5%が健康的な濃度である(0.7%、0.8%)を好んでいた。さらに、すまし汁を調味させた結果、健康的な濃度(0.55~0.84%)に調味できた者は51.4%であった。質問紙調査を行ったところ、「塩味について慎重に味見をするようになった」者は58.1%であった。共分散構造分析の結果、“味覚教育の効果”から、“味覚行動”に対するパス係数は0.84(p<0.01)であった。以上のことから、味覚教育を調理学実習に取り入れることは、薄味を意識し慎重に味見を行い、健康に良い塩分濃度に調味すること、薄味を好むなど嗜好面からも望ましい効果があると示唆された。 2. 給食経営管理に関する実習における味覚教育 兵庫県内の管理栄養士養成施設で学ぶ女子大学生43名(2年生)を対象とし、給食経営管理に関する実習の開始時(2015年10月)と終了時(2016年2月)に味覚検査(うま味・甘味・酸味・塩味の5段階の濃度差識別を行う利味能力テストと、基本五味の識別テスト)、および終了時に質問紙調査を行った。開始時と終了時を比較したところ、利味能力テストの得点や五味の識別テストの合格者の割合・正答率に有意差はなかった。質問紙調査の結果、「五感を働かせて食べる(32.6%)」、「塩味を慎重に味見をする(39.5%)」に当てはまる者が少なかった。以上のことから、味覚教育の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)味覚教育プログラムは、調理学実習の授業、調理科学実験(官能評価演習)の授業に用いる内容に追加して、給食経営管理に関する実習の内容を検討した。調理学実習の授業に用いる内容は、平成26年度から実施した内容を見直し味覚教育プログラムをほぼ完成させた。実習では味見を強化し、汁物の調味後の濃度確認や、五感を使って料理を味わった感想を記録させた。介入前後には、すまし汁の好みの塩分濃度について官能評価を行い、変化を確認した。また、介入後にはだし汁を調味させ塩分濃度を測定した。さらに、味見や食事作りに関する意識について質問紙調査を行い、味覚教育の効果を確認した。 調理科学実験(官能評価演習)に用いる内容は、平成26年度から実施した内容を見直し味覚教育プログラムを検討した。官能評価の体験、および調理条件の異なる料理・菓子を製作し五感を使って味わった感想を記録させた。介入前後には、濃度差識別能力を検査する「利味能力テスト」と、味質の違いを識別する「五味の識別テスト」を実施し、学生自身に味覚能力を確認させた。また、食行動、味覚行動に関する質問紙調査を介入前後に実施し、行動の変化を確認した。 給食経営管理に関する実習における味覚教育は、調理科学実験(官能評価演習)の授業の味覚教育プログラムに準じた内容とした。薄味に調理されることにより、健康の保持増進につながる食事のモデルとなりうることから、将来給食施設で管理栄養士として献立作成や調理指導に携わる学生を対象として味覚教育を実施し、効果的な食育の内容を検討した。 (2)研究成果について学会発表を行った。しかし、学術雑誌への投稿が完了していないため、今年度中に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成26~28年度に実施した質問紙調査の結果について、味覚教育介入群と、対照群の比較について詳細に検証する。 (2)平成28年度までのデータを詳細にまとめ、学会発表、学術雑誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
学術雑誌への投稿が完了できなかったため、そのための費用として予定していた金額を次年度に残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度までの結果についてまとめ、学会発表、学術雑誌へ投稿する費用として使用する。
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Research Products
(13 results)