2017 Fiscal Year Research-status Report
マルチメソッドによる孤食・共食が不適切な食品選択に及ぼす影響の解明
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26350175
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
坪田 恵 (宇津木恵) 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20419998)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食行動 / 食品選択 / 共食 / 弧食 / 人間関係 / 居住形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精度の高い研究デザインと適切なサンプルの下、自記式質問紙調査による定量的分析と、自由回答からのAGAおよびインタビュー調査による定質的分析を組み合わせたマルチメソッド法を用い、成人以降の「いつ/どこで/誰と食べるか」の種々の場面における食品選択との関連、ならびに「なぜそれを選ぶか」の食品選択に至る要因探索を、環境、生活習慣等背景因子を考慮に入れた上で解明し、不適切な食品選択になりやすいハイリスク要因低減のためのアプローチ法を提唱することを目的としている。 本年度は最終年度として、これまでに収集した特に若年成人における調査票の解析を中心に行ってきた。その結果、主として学生を対象とした若年成人調査においては、男女や朝食・昼食・夕食かにおいて異なる共食、孤食の特徴の違いが明らかとなった。中でも、一人暮らしか、奨学金受給者か、月あたりの収入が多いか否かが、有意に孤食と関連しており、朝食孤食者においては野菜摂取が少ない、夕食孤食者においては食事時間が5分以内のquick eaterが多いことが明らかとなった。他方、中高年成人においては、自身の健康状態だけでなく、人のつながり等外部との接点や居住地区、居住環境が、若年成人以上に健康的な食品選択の可否につながることが示唆され、特に外部との接点を持たないことによる孤食や不健康な食品選択のリスクは男性で高くなることが明らかとなった。 また並行して行っている量的調査については、定量的調査では十分に把握できない「なぜそれを選ぶのか」について、対象者の年齢構成や地域、背景を変えて、ワークショップを行ったり個別に聞き取り調査を実施、データの整理を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究そのものはおおむね順調な進行であったが、量的調査における解析、論文化にあたり、時間を要している。具体的には、若年成人調査データにおける解析から、男女や朝食・昼食・夕食かにおいて異なる共食、孤食の特徴の違いが明らかとなったが、その背景因子については多様であり、それぞれの生活習慣や生活行動の特性が影響を与えていることが強くうかがえることから、いくつかのサブグループに分けて検討を行ない考察を行なっていく必要が考えられた。 他方、質的調査については、データ整理の為の人員確保ができず、おおむね方針通り進行はしているものの、少々遅れが生じている。上記、量的調査で明らかになったことへのさらなる洞察につながるよう、かつ提言につながるようなデータの整理を行なうとともに、報告の仕方について協力いただいた複数の大学の意向も踏まえ、参加者へ向けた不適切な食品選択になりやすいハイリスク要因低減のためのアプローチ法を提唱できるような媒体の作成や準備を進めて行く。
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Strategy for Future Research Activity |
まず現在解析・論文執筆が送れている若年成人調査については、サブグループ解析をさらに行なっていくことで、より踏み込んだ食品選択や食行動の特徴について言及することが可能になると思われる。それに、質的調査であるAGAや聞き取り調査、ワークショップの結果からくる言葉を加味することで、更に一歩踏み込んだ論文発信ができると期待される。 本研究における若年成人、高齢者の調査報告において明らかになった結果から、男女や年齢層の異なった対象において「いつ/どこで/誰と食べるか」、「なぜそれを選ぶか」について、朝食・昼食・夕食かにおいて異なる共食、孤食の特徴の違いや食品選択上の問題点が明らかとなった。本研究は最終年度を迎えていることからも、論文執筆による情報発信と合わせ、参加者へ向けた不適切な食品選択になりやすいハイリスク要因低減のためのアプローチ法を提唱できるような媒体の作成や準備を進めて行く。
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Causes of Carryover |
(理由) 主として質的調査における人件費、ならびに論文化における英文校正料、投稿料に充当する予定であったが、論文化が遅れているため。また、人件費においては、今年度データを整理するための人を採用する予定であったが、予定していた人員の確保ができなかったため。 (使用計画) 質的調査データ整理のための人員を早急に確保し、年度前半を中心に作業を行なってもらうとともに、論文化における英文校正料、投稿料に充当する。併せて、参加者へ向けた情報発信媒体の作成料(パンフレット等)にも充当する予定である。
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