2014 Fiscal Year Research-status Report
理科教育における授業分析・解釈と教育内容構造との関係究明及び記述理論の統合
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26350180
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 栄三 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60271615)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 初中等教育 / 授業分析 / 教科書分析 / 物理教育 / 教育内容の構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)授業分析・解釈の分岐記述理論 生徒が問題を解答する際に選択肢を選び、クラスの解答分布を確認した後、各自の選択について生徒間で討論を行う状況(仮設実験授業やPeer Instructionのような授業展開)について検討した。解答分布が生徒に示されない場合、解答分布が生徒に示されるが分布に偏りがある場合など、さまざまな状況によって討論の展開にどのような影響があるのか。それを文節談話表示理論で分析すると解釈の分岐がどのように起きるのか。これらが次年度以降の研究課題であることが明らかになった。 これまで研究交流のある海外の大学においても同様の授業場面に着目して授業分析を行っており、そことの研究打ち合わせを行った(研究打ち合わせ等は当初計画にはなかったことであり、本研究の経費は使用していない)。 (2)教育内容の構造記述理論 平成26年度は、主たる教材である教科書分析に着目し、パール流の記号論を使った教科書分析を検討し、教科書記述、実際の学習活動、教師や生徒の解釈の3つを関連づけて表現できる理論的枠組みを提案した。教科書記述やそれを構成する概念の間に片側関係を設定し、教科書記述間の関係構造をダイアグラムで記述できるようにした。日本及び英国の物理教科書の分析を行い国内外の学会で発表した。 この理論的枠組みによって教科書にある教育内容が構造化されるだけでなく、各記述と関連づけられた学習活動や教師や生徒の解釈も構造化できるだろう。当初の計画にあるように、教育内容の構造の分析結果を学習活動の分析結果を関連づけることができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)授業分析・解釈の分岐記述理論 着目すべき授業展開の分岐について知見が得られた。実験授業の対象となる高校との打ち合わせも平成26年度末に実施した。 (2)教育内容の構造記述理論 教科書分析の基本的理論を提案することで、2年目以降の研究を進めていく枠組みが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)授業分析・解釈の分岐記述理論 高校において実験授業を実施し、その結果を分析しながら事例を増やしていく。 (2)教育内容の構造記述理論 今年度は当初の計画通り分析事例を増やしていくとともに、上述の授業分析の結果を利用して、教育内容構造と授業分析・解釈との関係を究明していく。 以上は当初の計画にしたがって進めていくが、台湾師範大学との共同研究から得られる台湾の高校のデータも本研究において使用する予定である。その共同研究については、本科研費からの支出は必要なく、研究倫理上の問題がないよう必要な手続きを行う。
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Causes of Carryover |
外付けの大型ディスプレイを購入し視認性が増したたことと、安全にデータを複数のPCで共有できるようにしたため、データを印刷して確認する必要が減り、インクジェットプリンターのインク交換が当初計画の半分で済んだ。 旅費の節約にも努めた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発生した次年度使用額については、印刷媒体の保存よりもデジタル化したデータの保存量が増すので、バックアップ用の記憶媒体の購入やセキュリティ対策に充てる。
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Research Products
(3 results)