2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Classroom Practice of Mathematics for the Deaf to Realize Bridging the Gap Between the Concrete and the Abstract
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26350182
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
森本 明 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (60289791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江森 英世 群馬大学, 教育学部, 教授 (90267526)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 聴覚障害 / 具体と抽象の往還 / 算数・数学の授業と学習 / 教室における談話 / 授業デザイン / 数学的な説明活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
具体と抽象の往還の具現化を図る聴覚障害児のための算数・数学の授業過程を解明するために本研究では,次の3つの下位目標を掲げて,3年間の行動目標とする; 目標(1) 聴覚障害児の思考における具体と抽象の往還に伴う困難性の同定と特性の分析, 目標(2) 具体と抽象の往還の具現化を図るために,手話や数学的表現など聴覚障害児にとって思考の道具となる,反復性や持続性ある言語を媒介とする活動の同定と特性の分析, 目標(3) 聴覚障害児特有の言語活動を生かした聴覚障害児のための算数・数学の授業過程と教師の役割の同定と特性の分析。 最終年である3年次は,上述した目標(3)について,課題解決をすすめてきた。26~27年度の2年間の研究成果を踏まえて,聴覚障害児特有の言語活動を生かした聴覚障害児のための算数・数学の授業過程と教師の役割の同定と特性の分析を行った。その中で明らかにされてきたことは,具体と抽象の往還の契機が授業過程における談話に生じている一方で,その往還が具現化し思考が深まる場合もあれば,具体化せず思考が深まらない場合があることについて,聴覚障害児の数学的な説明活動に光を当てて,分析を行った。その中で明らかにされてきたことは,事柄の説明、方法の説明、理由の説明などそれぞれの数学的な説明活動の意義を聴覚障害児が理解できる教師の働きかけが必要であること,そして特に,聴覚障害児における理由の説明活動において具体と抽象の往還が具現化し思考が深まる言語活動を促進する教師の働きかけが必要であること,である。今後の課題は,聴覚障害児特有の言語活動を生かした聴覚障害児のための算数・数学の授業過程と教師の役割について,実践を踏まえた授業過程の研究を積み重ね,教師が意識化し授業をデザインする指導原理を明らかにすることである。
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