2015 Fiscal Year Research-status Report
Webを用いた自主学習型天文分光解析体験プログラムの開発
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26350193
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 信成 三重大学, 教育学部, 教授 (60344272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜部 勝 日本女子大学, 理学部, 教授 (00156415)
西浦 慎悟 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (50372454)
山縣 朋彦 文教大学, 教育学部, 教授 (70383213)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 天文教育 / 解析体験 / 分光 / Web / 高校生 |
Outline of Annual Research Achievements |
天文・宇宙分野では、大型機器を用いた研究が進められ、研究成果が報道される機会も増えており、一般市民も高い関心を寄せる分野となっている。一方で、高校における地学の開講率は、物理、化学、生物に比べると極端に低く、この状況は次世代を担う研究者、技術者の減少だけではなく、宇宙科学を正しく理解し、その普及を支える移民の減少を招くことにもつながる。申請者らは、このような問題意識のもと、高校生自信が興味を持ったテーマについて、独力で学習を行うことができる自主学習型の天文解析体験教材の開発を進めてきている。この教材では、高校で地学を学ぶ機会がない高校生でも、自分のペースで現代天文学の基本的な研究手法を実習を通じて体験できることを目指している。既に撮像データを利用した教材についてはインターネットを通じて公開している。 一方で、これまでの教材では各自のPCに専用ソフトをインストールする必要があった。そのためPCに苦手意識を持つ生徒は、宇宙に興味があっても、ソフトのインストール時点で断念するケースも見られた。そこで、今回は解析そのものもWeb上で行えるシステムの構築を目指す。これにより、いつでも・どこでも、ネットにつながる環境であれば本教材を利用することができるようになる。加えて、これまで開発してきた教材に足りなかった分光データを主とした教材開発を行う。分光を組み込むことにより撮像データだけでは理解が難しかった天体の発光機構、運動についての理解を深めることができ、より系統的な天文学の理解が可能になる。 H27年度は計画で挙げたテーマについてのデータ収集を行い、その較正方法について検討を行った。波長較正については、おおむね見通しが立った一方で、輝度較正については較正方法を決定するところまで進めることができておらず、若干計画から遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H27年度は、データアーカイブシステムからテーマ毎に最適なデータの抽出と、そのデータの較正・評価が主たる作業となった.当初の計画に挙げていた「太陽の自転速度の算出」と「分光連星の運動」(いずれも天体の運動に関するテーマ)については、適切なデータが得られなかった。また「主系列星と巨星のスペクトル比較」については、高校生には専門的すぎるとの意見があったことから、3種のテーマを「渦巻銀河の回転」と「超新星スペクトルの時間変化」「銀河形態毎のスペクトル比較」に入れ替えることとした。当初計画では、スペクトルから知り得る情報として「元素組成」「放射機構」「天体の運動」の3つの分野を挙げ、それぞれの分野で3つのテーマの計9テーマを挙げていたが、このテーマ変更により、各分野のテーマ数は、各々4(元素)、3(放射)、2(運動)となった。 この変更に伴い、データの再抽出・較正作業が発生したため、進捗状況は当初計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は本計画の最終年度に当たるため、これまで整備した教材の有効性を確認するための試行を行う必要がある。本教材は自主学習を主眼としているが、有効性の確認を行う段階では、申請者らが立ち会った状態で教材を利用してもらうことが必要と考える。そのため、先行して整備が進んでいるテーマについては、夏季に高校生を対象としたセミナーを開催し、実際に教材を使用してもらった上で、有効性について検証を行う。また、残りのテーマについては年末を目途に整備を進め、2~3月に夏季と同じく試行を行い、有効性の確認を行う。 以上の作業が完了した時点で、教材の公開を行っていく。
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Causes of Carryover |
H27年度は、テーマの再設定が行われた関係で、データの再抽出を行うことになった。これに伴い、当初予定していたデータ処理(データ一次処理および波長較正作業)の作業量が当初計画よりも少なくなったため、この作業にあてるための謝金および打ち合わせ等にかかる旅費が、当初計画よりも少なくなったため次年度繰り越しが発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度は最終年度であり、データの整備についても最終調整が必要となる。昨年度からの繰り越しのデータ処理作業もあるため、これにかかる謝金等が発生する。H27年度の繰り越し分はこれらデータ処理にかかる作業補助への謝金および、打ち合わせ等にかかる旅費に使用する予定であり、最終的には配布額の全額執行が可能と考えている。
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Research Products
(10 results)