2014 Fiscal Year Research-status Report
中学校・高等学校数学科における活性化教材の開発と授業研究による実証的研究
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26350198
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
牧下 英世 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (80631580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ICT利活用 / 数学活用 / 国際研究者交流(大韓民国) / 国際情報交換(オーストラリア)) / 教職学生の数学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ICTの進展がめざましいオーストラリアにて中等教育学校を3校見学した。西オーストラリアのパースに位置するKolbe Catholic Collegeでは,数学の授業を中心に10数種類の授業を参観させていただけた。また,ICT教育の実践者の先生からもインタビューすることができた。学校のすべての教育活動がICTを活用することによって運営されていた。 (2) 韓国で開催された,The 4th International Congress on Mathematical Software(以降,ICMSと記す)に出席し,本科研研究成果の一部を発表した。 (3) 中学校・高等学校の数学科教員に対して,図形描画ソフトのGeoGebraの操作体験ワークショップを龍谷大学で実施した。その際に,韓国の高校教員でGeoGebra Soceityで活躍されているKyeong Choi先生を招聘して,韓国での実践について講演をしていただいた。 (4) 京都大学数理解析研究所の共同研究集会にて,「教職課程でのICTの利活用と実践:GeoGebraとLaTeXの利活用」の研究発表を行った。 (5) 中学校・高等学校の数学教員の授業研究会を本学の併設校(板橋)で実施した。(a) 図形作成ソフトGRAPESを用いた授業研究会を持つことができた。(b) 高校の先生が中学生へ授業を実施する際に気をつけることを垣間見ることができた。 (6) (5) で述べた実践から,中学校・高等学校の数学教材を開発することができた。 (7) 中学校・高等学校において,数学活用について外部講師により講演していただいた。 (a) 中学校において,折り紙を用いた数学教育の実践(オリガミクス)について専門家を招いて授業研究することができた。 (b) 高等学校において,航空宇宙工学と数学の関連について,専門家を招いた講演会を実施できた。生徒へのアンケートから生徒の数学と工学について,情意面での変容を垣間見ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の研究実施計画に沿って,教材開発,授業研究,ICTの利活用,数学史の利活用,研究成果に関する研究に取り組めた。本職の科学研究に対して,数学・数学教育研究者,教育実践者から理解と協力が得られたため,概ね順調に進展している。とくに,本学の併設校(附属学校)の先生の協力により,中学生,高校生の数学への考え方や見方についての観察ができた。また,本学の教職課程の学生の数学科指導法の授業などでの授業研究に関して,附属学校の先生による師範授業は,すこぶる良い機会となった。これらの内容で研究,実践が進んだことは,本研究の目的が学校現場を中心とした実証研究であることに鑑みて,とても大きなアドバンテージとなった。 ICTの利活用についても,オーストラリアの先進学校の授業参観ができ,本職の中で利活用の方向性が見えてきた。さらに,そこでの知見によって,国内で数学教育実践者の学校現場の先生方と教材開発を始められるようになった。 数学史の活用に関しては,東京理科大学数学教育研究会・数学史教育委員会を組織でき,研究集会を4回開くことができた。ここでの成果については,2015年8月に開催される日本数学教育学会北海道大会で公開する。 本研究については,理数研,都数研,日本科学教育学会,数学教育学会,京都大学共同研究集会で発表した。また,国際会議(ICMS)では,研究成果を発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度の研究に引き続き,教材開発,授業研究,ICTの利活用,数学史の利活用,研究成果の公開に取り組む。とくに,中学校・高等学校数学科の活性化教材をできるだけ多く開発するとともに,開発教材を学校現場にて授業研究において,その効用や生徒の数学への見方や考え方の面での変容について実証していく。 また,タブレットPCの利活用が学校現場で急速に進展していることに鑑み,今年度は,ICTの利活用についての取り組みを活発にしていきたい。具体的には,タブレットPCを想定した数学教材を開発していく予定である。また,タブレットPCを効果的に活用するための各種のソフトウエアを試す予定である。教材作成のオーサリングソフトとして,図形,関数グラフ作成ソフトであるKETCindyの開発に参加する。国内外で,ワークショップや講習会を開催する。その過程で,中学校や高等学校の先生方が教材作成のために,使いやすいソフトウエアにしていく。
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Causes of Carryover |
予定されていた国外出張が公務のため出席できなかった。また,購入予定の物品を購入しなかったこと,資料整理の支出がなっかたことにより,それらの予算を次年度へ繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学校での実証研究のため,2014年度の研究内容の整理のため,人件費での支出が増える予定である。 研究成果を公開のために,国内外でのワークショップ,講習会を開催する予定である。また,物品購入の予定があるので,謝金,旅費,物品購入での支出が増える予定である。
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