2016 Fiscal Year Research-status Report
中学校・高等学校数学科における活性化教材の開発と授業研究による実証的研究
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26350198
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
牧下 英世 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (80631580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教材開発 / ICME13 / CADGME2016 / ATCM21 / 授業研究 / WASAN |
Outline of Annual Research Achievements |
教材開発,教材刊行に関する国内出張として,奈良県,京都府,長崎県の和算研究家に対して,インタビュー調査を実施することができた。とくに,和算の内容を利用した教材開発を進めることができた。さらに,日本数学史学会(京都府),全国和算研究大会(愛媛県)では,和算の基本問題について,日本科学教育学会(大分県)では,ICTの利活用に関する課題別分科会において,教材開発の方法論としてCinderella,KeTCindyの使い方を数学活用について,日本数学教育学会秋季研究研究大会(青森県)においては,教材開発に際して,意識しておかなくてはならない内容をとおして,東京理科大学数学教育研究所の「高校生に対する基本学力問題の結果」を引用して,それぞれ研究発表をさせていただいた。 国外出張としては,ICME13(ドイツ,ハンブルグ)において,『和算の基本問題』を普及させるために英訳した冊子"WASAN"を完成し,研究成果を世界に発信した。ICME13では,自身の発表に際して参会者から貴重な助言を得ることができた。また,各国の数学教育の授業研究(とりわけオーストラリアのメルボルン大学が先行的な取り組みをしていることなど)などの情報を得ることができた。CADGME 2016(ルーマニア・Targu Mures)では,教材開発を印刷教材として用いるシステムについて,各方面から助言を得られた。 ATCM21(中国,楽山)では,数学教材として作図方法について研究成果を公開した。 授業研究については,メルボルン大学の事例のほか,筑波大学附属駒場中・高等学校において,研究協力者とともに研究集会を持ち,意見交換および情報共有を行った。授業研究として,慶應義塾普通部,芝浦工業大学附属中学高等学校,芝浦工業大学柏中学高等学校における実際の授業を通した授業研究と実証的な研究ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年に着手した『和算の基本問題』について,研究成果を全世界に公開するために,英訳化を行い,冊子『WASAN』を作成した。 また,教材開発の一環としてわかった内容について,「数学を数学に活用する」教材化できることがわかった。教材の題材として和算の内容を利活用することは,重要であること,また,それらについて知見のある研究者からのインタビューによる聞き取りが重要であり,急がなくてはならないことを改めてわかった。 授業研究については,研究協力者と実際の授業を数多く持つことができた。また,その後の研究協議会を通じて,授業研究へのスタンスから,授業研究をしていく方法,分析の仕方,評価の手法について,一定の方向が見えてきた。 授業研究を進めるにあたっては,学校現場の行事に左右されることがあり,2016年度は年度末に集中した。 とくに,評価の手法については,紙ベースの評価方法を中心に深めることができた。 授業研究については,日本で生まれた研究である。そのため,海外を意識することなく,国内での授業研究会を推進してきた。2016年度は,慶應義塾普通部,芝浦工業大学附属中学高等学校,芝浦工業大学柏中学高等学校を中心に国内で実施してきた。本研究を遂行するにあたって重要な先行研究が,海外での授業研究にも多くあることがわかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度(最終年度)は,授業研究について取り組んでいく。とくに,国際学会に出席することによって得られた知見の中で,オーストラリアのメルボルン大学のThe Melbourne Graduate School of Education (MGSE)での実験室での取り組みがかなり先行していることがわかったので,そうした施設の見学および研究の打ち合わせを実施して,授業研究をどのようにして取り扱っているのかを調査研究することによって,本研究に資したい。これまでに行ってきた授業研究を振り返り,授業研究について,教材の提供や内容,指導法(ICTの利活用も含めて),授業分析,授業評価,生徒の感想などについて取りまとめることを検討する。 また,2014年から取り組んできた開発教材については,まとめて公開することを検討する。 さらに,本科学研究を発展させる意味で,後続の研究について,研究協力者とともに考察するとともに,本研究を総括する。
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Causes of Carryover |
所属法人(芝浦工業大学)より,夏の国際学会(ICME13)への研究発表のための旅費等の一部の支援が受けられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の研究,とくに授業研究,成果公開のために利用させていただく。
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