2014 Fiscal Year Research-status Report
モロッコ産ゴニアタイト化石の分類学的研究と教材開発
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26350205
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Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
東條 文治 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 准教授 (50422704)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 示準化石 / 理科教材 / ゴニアタイト / 古生代 / 化石教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、モロッコの南東部エルフード周辺地域で、古生代ゴニタタイト化石を産出する地層について野外調査と、産出する化石採取を行った。10数箇所の露頭において地層および、化石の産状を調べ、代表的な化石について採取することができた。また露頭のGPSによる位置データなど基礎的なデータについても確保することができた。各産地では採取した化石について形態の保存状態、サイズ、種類などを検討し、示準化石の学習用教材として適した化石および産地を絞り込むことができた。 古生代ゴニアタイト化石を使った示準化石の学習用教材については、すでに作成した中生代アンモナイト化石を使った示準化石の学習教材とあわせて使用することで、より幅広い学習内容について活用が見込まれるものであり、中生代アンモナイト化石教材の形態保存やサイズといったものに近いものを選定する必要があるが、いくつかのゴニアタイト化石の産地において化石の形態の保存状態、サイズなどが類似するものを得ることができた。一方で、中生代のアンモナイト化石と比べると、表面の殻が失われているもの、断片化したものも多く、教材として数をそろえるためにはより多くの化石試料からの選別が必要であることがわかった。 また、各産地では、地層の様子、化石の産状などについて写真を撮影し整理するとともに、さらに露頭前での解説の動画なども撮影し、視聴覚教材についても重要な素材を確保することができた。幅広い産地を実際に調査し、教材に適した化石産地を絞り込むことという最も重要な課題がクリアできたことが本年度の大きな研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに、モロッコにおいて野外調査を行うことができ、さらに化石試料の確保をすることができた。エルフード周辺で10数箇所について実際に露頭を確認し、教材として良好な産地を選定することができたことは非常に大きな成果である。これについて今後さらに詳細な調査を展開することで教材化が見えてくるからである。化石試料は断片化したものも多いが、教材として利用する数を確保が可能と見積もっている。実際に採取した試料から保存状態の良いものを振り分け、種の同定を進めるなど、2年目以降に予定していた作業もある程度すすめることができた。また、視聴覚教材として、露頭の地層や化石の画像や動画を撮影することも予定されていたが、これも予定通り行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降については、これまでのモロッコにおける野外調査によって確保した化石試料をもとに教材に適した産地として絞り込んだ露頭についてより詳細な調査を行う。野外調査によってより詳細に化石の産状を調べ、下位から上位にかけての化石種の変遷、産出する化石の層準、保存状態の変化などを明らかにしていく。さらに教材として利用可能な化石試料についてついて採取し、これまでに採取したゴニアタイト化石と合わせて、教材化に適した産地の試料について、教材として使用する種の選定を進める。それぞれについて十分な数を集めるとともに、化石のクリーニング、ラベリング等の作業も進め、教材セットの作成に取り掛かる。また露頭や化石についての動画・画像を整理し、視聴覚教材もデジタルコンテンツとしてインターネット上に公開の準備をする。教材として利用する、レンジチャートやゴニアタイト図鑑などの作成を行い実践授業に向けた教材の誠意をする。制作した古生代ゴニアタイトの教材セットは、中生代アンモナイトの教材セットと合わせて、授業実践を行い、教材の有効性を検証する。これらの実践に基づいた「教材実践マニュアル」を作成し、教材とともに配布・普及を行っていく予定である。
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