2014 Fiscal Year Research-status Report
高専等におけるアカデミック・ポートフォリオの普及と教職員の意欲向上に関する研究
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26350213
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Research Institution | Osaka Prefecture University College of Technology |
Principal Investigator |
北野 健一 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20234263)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アカデミック・ポートフォリオ / ティーチング・ポートフォリオ / ファカルティ・ディベロップメント / 高等専門学校 / ワークショップ / メンター / メンティー / メンタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は本校を会場としてティーチング・ポートフォリオ(TP)作成ワークショップ(WS)を2回(参加者:学内2名、学外4名)、TP作成長期コースを1回(参加者:学内1名)、TP更新WSを2回(参加者:学内4名)、アカデミック・ポートフォリオ(AP)作成WSを2回(参加者:学内2名、学外7名)開催した。これによって、大阪府立大学工業高等専門学校では常勤教員71名中51名がTPを作成し、約7割の教員がTPを執筆した高等教育機関となった。また、APについては常勤教員71名中8名が作成している。 また、本校では学外からも作成者を受け入れており、2015年3月末現在、本校におけるAP作成者は学内外あわせて39名、TP作成者は学内外あわせて114名となった。現在、日本国内におけるAPの作成者は約100名、TPの作成者は約500名と推測されており、日本国内におけるAP作成者の約4割、TP作成者の約2割が本校でAP/TPを作成していることになり、本校は「日本におけるAP/TPのメッカ」としての役割を十分果たしているといえる。 また、AP/TPを普及するために、学会等において周知を行っている。平成26年度は、全国高専教育フォーラム、日本高専学会年会講演会等において、AP/TPをはじめとする各種ポートフォリオについて講演を行った。 AP/TPを正しく導入するには構成員の正しい理解が必要である。よって、大学等から依頼があれば、AP/TPについての正しい情報をFD講演会等の形で周知したり、ワークショップ開催に向けた相談に乗るようにしている。平成26年度は2大学から講演の依頼があった。また、3大学からワークショップ開催にあたって事前相談があり、開催に向けた支援を行った。さらにワークショップ当日はスーパーバイザー・メンターとして支援することで、大学。学部等の組織的な導入を支援した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、本校を会場として、アカデミック・ポートフォリオ(AP)作成ワークショップ(WS)を2回、ティーチング・ポートフォリオ(TP)作成ワークショップ(WS)を2回開催することができた。これによって、本校でのAP作成者は学内外あわせて39名、TP作成者は学内外あわせて114名となっており、全国のAP作成者のうち約4割、TP作成者のうち約2割が本校で作成していることになる。本校はまさに「日本におけるAP/TPのメッカ」となっている。 また、AP/TP作成WS以外に、TP更新WS、TP作成長期コースも開催している。 校内参加者と校外参加者の事後アンケートの結果を用いて、開催場所の違いによる作成WSの成否について考察した。作成WSの開催場所は各教育機関の施設や予算で決まる面もあるが、「校内/校外の方がより充実したWSを運営できる」という期待に基づき、積極的にどちらかを選んでいることもある。これまで実際に両方の実施形態を経験し比較・評価した報告はなかったため、そのメリット・デメリットを実地に確認し、「それぞれに長所と短所があるが、最終的に参加者のTP作成に大きな影響はない。運営者は開催場所を検討、作成者はどの形態のWSに参加するかを検討する際に、それぞれの長所と短所を理解して自分の希望に合う形態を選択すればよいが、どちらの形態でも一定水準の成果は保証できる」ことを初めて明らかにした。この成果は所定の査読を経て、高専教育第38巻(平成27年3月発行)に論文として掲載された。 以上の理由により、「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年3月、国立高専機構は「モデルコアカリキュラム(試案)」を公表した。これは、教育機関がその設置目的に応じて教育研究指導を遂行していくために必要な教育内容の体系(カリキュラム)の中核(コア)部分をモデル(手本・模範)として示していこうとするものである。この中で、「第8章 モデルコアカリキュラムの質保証機能を担保するための取組み」の一つとして、「ティーチング・ポートフォリオ」が取り上げられており、高専では、今後さらに注目を集めると思われる。このような情勢において、そのニーズに応えるため、「ポートフォリオについて理解を深め執筆者を増やすためのセミナー」を開催する。 平成27年度もAP/TP作成WSを3回開催する予定である。AP/TP作成WSは3回のうち2回を学内で開催する。 それと並行して、引き続き、高専等への普及活動に努める。AP/TPを正しく導入するには構成員の正しい理解が必要である。そこで、AP/TPについての正しい情報を発信するとともに、学協会にも積極的に参加し、成果発表に務める。 なお、日本の高等教育機関に所属する教員のAPを掲載した事例集はまだ出版されていないため、この書籍について、早急に執筆を進める。さらにAP執筆による効果を検証する研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初AP/TP作成ワークショップを校内2回、校外1回、計3回開催する予定であったが、校内2回分しか開催できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品(130千円)・・・ワークショップ開催にあたり、必要となる文房具、インクカートリッジ等に30千円、研究書籍の購入に100千円を予定している。 国内旅費(590千円)・・・外部メンターの招聘旅費として120千円を予定している。本校以外の教育機関から本校教員にメンター依頼があった場合の出張旅費として180千円、学協会における成果発表の旅費として240千円、セミナー講演者の招聘旅費として、50千円を予定している。 人件費・謝金(385千円)・・・客観性を保つ観点から外部メンターは重要である。外部メンターを招聘した際の謝礼として、340千円、セミナー講演者の謝金として45千円を予定している。その他(335千円)・・・研究成果を積極的に学会誌等に投稿する際の費用や別刷代として150千円、Webページ作成費用として100千円、広報パンフレットの印刷費として85千円を予定している。
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