2014 Fiscal Year Research-status Report
統合的キャリア・プランニング導入による女性技術者の意識変革過程の解明と効果の検証
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26350214
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Research Institution | Osaka Prefecture University College of Technology |
Principal Investigator |
中谷 敬子 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60295714)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 女性技術者 / 女子学生 / キャリア教育 / キャリア支援 / キャリア発達 / 組織と個人の共生 / キャリアプランニング / 統合的ライフプランニング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、幅広い世代の女性技術者を対象としたキャリア観、および、キャリア構築家庭、直面している問題を明らかにする目的で、①19~26歳の理工系女子学生、②20~40歳代の企業技術者の聞き取り調査を実施、複数理工系メーカー企業の人事担当者へヒアリングを行った。 ①の学生期の理工系女子は、そのキャリアプランニングが、専門技術を活用できる仕事に就くことを前提としているものの、長期の就労継続については、不確定とする回答が多かった。②の20~40歳代の女性企業技術者の聞き取りでは、予想されたライフステージの変化に伴うキャリア課題に加えて、「組織の意向による意図しない配置転換」、「組織とのコミュニケーション不全によるキャリア展望への不安」が浮き彫りとなった。前者は、当初の自身のキャリアプランと異なり、当初の専門技術・知識を直接的に生かすことができない部署への転換となった場合であり、その配置転換が、ライフイベントによるものと重なった場合、女性技術者は、ライフイベントによる新しい環境への適応と、キャリアプランの大幅な変更への心的・物理的適応を短期間に迫られる。加えて、後者で指摘された、キャリアパスに大きな影響を与える上司とのコミュニケーション不全が、彼女らのキャリア構築に不安を与えていた。 聞き取りでは、キャリアプランニングの方法だけでなく、結果として取っている行動も詳細に調査している。本年度の聞き取り調査から、学生に対しては、キャリアプランの概念の導入と、ライフイベントとキャリアプランを統合的にみる視点を与えることが必要であることが分かった。一方、女性企業技術者に関しては、同じく統合的なキャリアプランニングと共に、企業と個人の双方がそのギャップを埋めるべく、組織・個人双方に対して、組織との共生のための支援が必要であることが明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、女性技術者のキャリア構築における、特にワークライフバランスの維持の問題を中心として、個人の仕事に関する自己達成感や安定感のみに焦点を当てるのではなく、より広義なキャリアの定義と個人の人生全体と社会・組織を考慮した統合的ライフプランニングの概念を導入し、女性技術者のキャリアとその構築に関する意識や現状を調査分析することを通じて、個人生活、職場環境までを視野に入れた新しいキャリア構築の概念を提案することを目的としている。 そのためには、従来の就労者だけからのアンケート調査に加えて、個別にヒアリングを行った。ここでは、申請者のキャリアカウンセラーとしてのスキルが活用され、就労者の個別固有のキャリア概念、人生に対する考え方などまでも聞き取りを行った結果、キャリアとライフの統合的考察を、対象者と共に起こっている現象の理解を深めつつ行えた点は、当初の想定以上の成果であり、平成27年度の研究計画の内容の方針に大きな影響を与えている。 加えて、そのヒアリングの中で「組織との共生」に大きな課題があることが明らかになったので、人事への聞き取りも当初の予定に加えて「共生」のためのしくみとその課題について情報を得ることができた点も計画以上の成果であった。 以上の点から、本研究は、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的である、女性技術者のキャリア構築における、より広義なキャリアの定義と個人の人生全体と社会・組織を考慮した統合的ライフプランニングの概念を導入し、女性技術者に対する、個人生活、職場環境までを視野に入れた新しいキャリア構築の概念を提案するという、申請当初の研究計画に大きな変更はない。 平成26年度の研究の中で浮き彫りとなった「個人と組織の共生」の課題についての調査研究を加えた形で、平成27年度の研究計画を実施する。 具体的には、平成26年度の研究で明らかとなった、個人と企業のキャリアとライフプランニングの考え方を統合し、共に共生するために、企業と女性技術者の両者に向けて、統合的ライフプランニングの学習機会を、繰り返し、継続的に提供し、その学習のプロセスの中で、女性技術者のキャリア概念とその実践を調査し、仕事―家庭問題がどのように変容したかを検証する。同時に、結果としてどのような影響があったかを企業への聞き取りを行う。
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Causes of Carryover |
研究の進展に伴い、当初仮説に含んでいなかった、女性技術者のキャリアイベントとライフイベントの相互作用によるキャリア構築における課題について、検討・分析を深めることが、本研究の計画成果をより高めることと判断し、研究成果を公にする為の学会発表よりも、研究議論、追加の聞き取り調査などを優先したため、若干の予算が残ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し理由となった、女性技術者、企業人事担当者からの聞き取りと、キャリア心理学、統合的ライフプランニング理論に詳しい研究者との研究相談の結果、平成27年度に加えて行うべき調査研究が明確になったので、繰り越し予算は、その実施にあて、平成27年度の研究計画内容をより多角的かつ高度に検討する。
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[Journal Article] 担任の主観とQ-U に基づくクラス状態の把握の比較2014
Author(s)
金田, 忠裕;石丸, 裕士;塚本, 晃久;中谷, 敬子;和田, 健;重井, 宣行;久野, 章仁;小幡, 卓司;稗田, 吉成;
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Journal Title
大阪府立大学工業高等専門学校研究紀要,
Volume: 48
Pages: 23-36
Peer Reviewed
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