2015 Fiscal Year Research-status Report
免疫にかかわる細胞や分子への理解を促す学習教材の開発
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26350225
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
日比野 拓 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60513835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トル様受容体 / 自然免疫 / 教材開発 / 教材実践 / 高等学校生物基礎・生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等学校「生物基礎」の教科書には、獲得免疫と自然免疫について細胞レベルでの制御のしくみが記載され、高等学校「生物」の教科書には分子レベルでの免疫機構が記載されている。高校生がこれらの複雑な免疫のしくみを理解するにあたって、講義のみよりも実験・実習を加えた方が効果的である。本研究では、高校生が免疫学へ興味関心を持ち、かつ複雑な免疫機構に対する理解を深める教材開発と実践を行う。 昨年度は自然免疫において病原体の構成成分を認識する受容体であるトル様受容体(TLR)を題材としたカードゲーム教材の開発と配布を行った。今年度はこのTLRカードゲームをさいたま市内の高校にて実践し、この教材が免疫への理解や免疫学への関心の向上に役立つのかどうか、授業後にアンケートを実施しその分析を行った。「TLRカードゲームに興味が持てた」に、肯定的な生徒は30名全員であった。実践者として、生徒の様子を観察した時も、意欲的に取り組んでいる姿を確認することができた。その一方で、食作用やTLRのしくみについての理解は、このゲームだけでは不完全であることが示された。予備知識を丁寧に教えること、かつ振り返りの授業を行うことが課題となった。次に、「免疫の内容に今までよりも興味がわいた」に肯定的な生徒は、30名全員であった。TLRはいまだ学習していない内容であったが、TLRカードゲームが免疫学への興味や学習意欲を高めるのに有効あることが示された。 昨年度に引き続きTLRカードゲームを普及する取り組みを行った。(1)日本生物教育学会第100回全国大会でポスター発表をし、TLRカードゲームの説明に加えて配布を行った。(2)埼玉県高等学校生物研究会が主催する平成27年度生物教材配布会にて教員30名へ配布した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発したTLRカードゲームを学校現場にて実践し、授業後に高校生に対してアンケートを実施することができた。また免疫学を題材とした新たなカードゲームを開発した。現在、大学生への試行を繰り返しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫学を題材とした新たな教材を完成させ、高校生への実践と埼玉県内を中心に教員への配布を行っていく。
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Causes of Carryover |
申請当初、海外渡航を予定していたものの、都合がつかず取り止めた。そこで余剰の研究費を次年度へ繰り越し、開発中の免疫教材の開発と配布に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫学を題材とした新たなカードゲームを開発し、次年度には印刷を行う予定である。繰越金の一部はこの印刷費用に充てる。残りの繰越金は食作用観察を容易にする教材開発の消耗品代に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)