2015 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダー視点を取り入れた大学院生の科学コミュニケーション教育プログラムの開発
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26350228
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
村田 享香 新潟大学, 経営戦略本部男女共同参画推進室, 准教授 (40529393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 恵子 (村山恵子) 静岡大学, 男女共同参画推進室, 助教 (40404058)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / 科学教育 / 大学院教育 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,科学研究を社会(特に女性)にわかりやすく伝える能力をもった科学者を養成することを目的として,未来の科学者である大学院生に対する科学コミュニケーション教育プログラムを開発するものである。 平成27年度は,前年度に作成した大学院生の科学コミュニケーション教育の現状を把握するための質問紙によるWebアンケートを実施した。調査対象機関として国立大学2機関を取り上げ,自然科学系大学院生2140人を対象とした調査を行った。調査期間は1か月とし,調査方法はURLとパスワードを付したアンケート調査依頼メールを当該機関の許可を得て対象者に配信するものとした。本調査により,大学院生の性別や研究分野ごとに,①これまでに受けた科学コミュニケーション教育とその内容,② 科学コミュニケーションの実践経験の有無,③ 伝える相手に対する理解と配慮,④ キャリア意識,⑤科学コミュニケーション教育の必要性の5つの視点に関する認識や現状を把握することができた。 また,実際の科学講演において,受講者が講演者のどのような表現に注目しているのか,それが内容の理解や興味とどう関係しているのかを明らかにするため,科学講演の機会を利用して受講者への質問紙調査と講演者の講演表現を記録する調査を行った。質問紙では,特に講演者の身振り等への関心度を測る項目と講演内容の理解度に関する項目を取り上げた。理解度については,講演ごとに科学的基礎事実についての説明1か所を取り上げ,それに関連する3つの質問の正答率を測った。その際の講演を講演者の許可の下にビデオ映像に記録することにより,受講者の注目度と内容の理解度,講演者の講演表現との間にどのような関係があるのかを明らかにするためのデータを蓄積することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,前年度に準備した大学院生の科学コミュニケーション教育の現状を把握するためのWebアンケート調査を実施し,Webアンケート調査が継続して行える環境を整えることができた。これにより,今後,調査範囲を拡大しより精度の高い結果を得ることが出来ると予想される。また当初計画であった受講者への質問紙調査と講演者の講演表現調査についても実施することができたが,受講者の質問紙だけでなく講演者のビデオ映像の分析にも膨大な量のデータ解析が必要となることから,これらのデータの分析結果を得るには至らなかった。これらを総合して「おおむね順調」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,前年度までに得られたデータの解析から「受講者の講師への注目度と内容の理解度,及びそれらと講演者の講演表現との間の関係」について,おおよその知見を得ることを第1の目標とする。その上で,科学コミュニケーション技術の体系的な分類・評価を行うための検証実験について,特に講演者や受講者の性別による差異を明確に検証できるものとするため,当初計画を再考するための模擬実験等を行うことによって適切な実験セットを考案する。また,科学コミュニケーション経験とキャリア意識の関係性をより明らかにするため,質問紙を改良したWebアンケート調査を実施する。
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Causes of Carryover |
大学院生の科学コミュニケーション教育の現状調査を実施するために、Webアンケート調査に必要なレンタルサーバを利用したが、当初計画よりも安価に実現できたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は2つの調査を実施したことにより調査データを蓄積することができた。しかし、その解析が未実施であるため、映像分析、データ解析の可能な研究補助者を雇用することによって解析を進める。
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