2017 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダー視点を取り入れた大学院生の科学コミュニケーション教育プログラムの開発
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26350228
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
村田 享香 新潟大学, 経営戦略本部, 准教授 (40529393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 恵子 (村山恵子) 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (40404058)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / 科学教育 / 大学院教育 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,科学研究を社会(特に女性)にわかりやすく伝える能力をもった科学者を養成することを目的として,未来の科学者である大学院生に対する科学コミュニケーション教育プログラムを開発するものである。 平成29年度は,講演者の講演表現を数値化するため,前年度に抽出した講演ビデオ映像,及び,スライド内容の解析方法を検討し,講演中の大学院生の身振り手振りなどの回数,スライドの文字の量や大きさなど,検証すべきポイントを絞り込むことに成功した。また,受講者への質問紙調査に対するバックグラウンドデータを得るため,研究協力を依頼した生徒への「理数系科目の志向に関するアンケート調査」を実施した。その結果,調査対象の男子生徒と女子生徒の間に,理数系科目(数学,物理,化学,生物,地学,技術)の志向(好き・嫌い,得意・不得意)の違いがあることが分かった。この結果と,受講者の講師への注目度や講演者の講演表現との関係を明らかにするための解析にも着手し,女性講師と男性講師,女子生徒と男子生徒とで、注目箇所に異なる傾向があることが明らかになった。さらに,「大学院生の科学コミュニケーション経験とキャリア意識に関するアンケート調査」の自由記述欄の内容分析として,計量テキスト分析手法の一種であるKH-Coderによる解析を行った。頻出語のクラスター分析から,大学院生の科学コミュニケーションに対する意識の傾向をつかむことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は,前年度に抽出した講演サンプルについて,①受講者への質問紙調査,②講演ビデオ映像解析,③スライド内容のデータ解析,を進め,講演表現を測定するための指標を作成する予定であった。①の調査については,研究分担者との複数回の打合せに基づき,そのバックグラウンド調査も含め実施できたが,②③については,検証すべきポイントを絞り込むことはできたものの明確な指標を得るには至らなかった。さらに,予定していた新たな研究分担者の参画が実現せず,「大学院生の科学コミュニケーション経験とキャリア意識に関するアンケート調査」の結果発表にも至らず,研究期間を延長することとなった。以上の点から,「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
延長した平成30年度は,特にジェンダーに注目した「受講者の講師への注目度と内容の理解度,及びそれらと講演者の講演表現との間の関係」についての総合的な知見を得るため,研究員を雇用して,これまでの調査結果の解析を精力的に進める。さらに,そこで得られた結果を基に,講師及び受講者の性別に基づいた効果的な講演技法についての仮説を立て,それを検証する。また,最終年度であるため,それらの結果を発表することに注力する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が本務において多忙を極めたこと,予定していた新たな研究分担者の参画が実現しなかったこと,研究の補助的作業を行う研究員の雇用が出来なかったことから,研究が思うように進捗せず,次年度使用額が生じた。 来年度は,研究員を恒常的に雇用して蓄積しているデータの解析を進め,研究をまとめていくとともに,最終年度として,成果発表のための学会参加や論文執筆を行う。そのため,謝金等に150万円,旅費に15万円,その他(論文投稿費等)に10万円を使用予定である。
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