2015 Fiscal Year Research-status Report
地域の学校参加による「菜の花調査」の実施に向けたDNAによる種の識別技術の確立
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26350229
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
西沢 徹 福井大学, 教育地域科学部, 講師 (80414382)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アブラナ / 理科教育 / 学校教育 / 理科教材 / 生物教材 / 環境調査 / 分子マーカー / 葉緑体DNA多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象植物は,アブラナ,セイヨウアブラナ,及びカラシナの3種である。カラシナは形態からも容易に識別できるが,アブラナとセイヨウアブラナは非常に近縁な植物であることから,PCR産物の分子量を単純に種間で比較するSSLPマーカーでは互いに区別することができなかった。そこで,マーカー候補の4遺伝子座において,PCR産物を制限酵素処理して電気泳動で分画するPCR-RFLPマーカー(制限酵素節断片長多型)の適用を模索してきた。しかし,3種を容易に識別できるマーカーが捕捉できなかったことから,本年度は,SSCP法(非変性ゲル電気泳動による一本鎖PCR産物の高次構造多型)によるマーカーの捕捉を進める体制の整備を中心に進めてきた。SSCP法は,電気泳動時の温度にマーカーの検出力と再現性が大きく左右されることから,非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を恒温環境下で行うことができるスラブ型ゲル電気泳動装置と低温恒温水槽を,本年度の補助金によって整備した。 現在はSSCPによる泳動条件(ゲル中のグリセロール濃度,泳動時間,泳動温度など)の設定を進めている段階であり,具体的なマーカーの捕捉が次年度の中心的な目標となる。 本研究の実施内容に関連して,「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」の一環として,「理科と数学の活用力を研くサイエンスキャンプ」を平成27年8月11日~12日に福井大学文京キャンパスおよび芦原青年の家において実施し,研究成果の社会還元・普及事業に参加した。対象は高校生および中学生であり,生物,数学,言語活動と科学の3分野でプログラムを設定し,その中の生物プログラム『「DNA マーカーで解き明かす菜の花の仲間たち」DNA の違いを検出するアガロースゲル電気泳動を体験しよう。』を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年までの研究によって,Nishizawa & Watano (2000)の葉緑体DNA 用のユニバーサルプライマーが汎用可能であり,遺伝子間領域の1遺伝子座,およびイントロン領域の3遺伝子座のマーカーについて,最適なPCR条件を検討してきた。 本研究の当初の計画で予定していたSSLPマーカーでは,対象種であるアブラナ,セイヨウアブラナ,及びカラシナの3種を識別することが難しかったことから,別な変異検出法としてSSCPマーカーの適用に方針を変更した。今年度,SSCP法による電気泳動装置を整備し,変異検出に適した泳動条件の検討を進めている。 新たなマーカー検出法の適用に伴って,変異検出のための条件検討が必要になったことから,対象種間で異なる変異を検出できるマーカーの捕捉に実施内容を絞って研究を進めている。このため,国内の広い範囲を対象とする集団からの試料採取は見送り,福井市近郊の複数の集団から,対象種の試料採取を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続いて,SSCP法による変異検出に最適な条件の検討を進め,葉緑体DNA多型に基づいたマーカーの捕捉を最大の目標とする。マーカーが捕捉できた場合には,これまでに採取を行っている野外集団の試料からDNA精製を行い,解析用DNA検体の整備も進める。
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Causes of Carryover |
新たなマーカー検出法の適用に伴って,変異検出のための条件検討が必要になったことから,対象種間で異なる変異を検出できるマーカーの捕捉に実施内容を絞って研究を進めている。このため,国内の広い範囲を対象とする集団からの試料採取は見送った。このため,県外等の遠距離集団への試料採集を見送っていることから,出張旅費の執行が生じなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の中心となる目的は,身近なアブラナ類3種間で識別可能な分子マーカーの開発であることから,当面はマーカー開発に注力する。SSCP法による手法へと方針を修正していることから,新たに,ポリアクリルアミドゲルの泳動像を可視化する試薬類が必要となる。伝統的な銀染法も候補ではあるが,硝酸銀の廃液に伴う廃棄料や環境影響への懸念もあることから,簡便な蛍光染色試薬等の適用を検討している。次年度へ繰り越した分は,これらの蛍光試薬の購入費等へ,有効活用したいと考えている。
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