2015 Fiscal Year Research-status Report
マイクロスケール実験による理科実験の個別化と言語能力の育成を目指す授業展開の構築
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26350233
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
芝原 寛泰 京都教育大学, 教育学部, 教授 (60144408)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロスケール実験 / 理科教育 / 言語能力 / 個別実験 / 教材開発 / 授業実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的である「マイクロスケール実験による理科実験の個別化と言語能力の育成」に向けて、教材開発、授業実践、学会発表、論文その他の執筆、公表を継続的に行った。 理科実験の個別化を可能にする教材の開発では、器具の小型化、操作の簡略化を図る実験器具の開発に重点をおいた。また言語能力の育成では、特に表現能力の育成に注目し、ホワイトボードによるグループ内の実験結果の共有と、それに続くクラス発表を併用する授業展開を積極的に行う授業を実践した。 また、マイクロスケール実験の海外に向けての普及ため、2012年発刊の自著「マイクロスケール実験―環境にやさしい理科実験」を公開促進費により翻訳刊行した。開発した教材実験は高校理科3件、中学校理科2件、小学校理科1件で、授業実践は6件、学会発表は5件、論文および解説文の公表は6件、著書2件である。また「ひらめきときめきサイエンス」の実施により研究成果の社会還元も行った。さらに、マイクロスケール実験の普及のため、その趣旨等を説明したクリアーファイルを500部作成し配布した。 H27年度は研究期間の中期として、主に教材開発と並行して授業実践にも力をいれ、教材実験に問題点の抽出を優先した。計画通りに遂行しているが、同時に、最終年度に向けて研究成果の論文公表に向けての準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度は研究中間年度として、ほぼ計画通りに遂行した。「実験の個別化と言語能力の育成」」をはかる実験教材の開発、授業実践の一部、研究成果の公表(論文、著書、学会発表、解説書の執筆等)も、当初の目標に沿ってすすめることができた。教材については、小学校から高校理科にわたる6件の開発と実践を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(H28年度)は、研究期間の最終年度として、授業実践をさらに行うと同時に、研究のまとめとして、実験手順、ワークシート等の作成と整備も行う。言語能力の育成にどの程度の貢献があったかについての判定方法も、学校現場の意見をふまえ、さらに検討を重ね検証できる体制を整えたい。このことは今後の研究継続の上でも重要であり、最終年度として優先度を挙げて取り組みたい。また学校現場や他大学との交流を深めるためにも、今後は「ひらめきときめきサイエンス」や科学館等での実験教室も積極的に取り組み、研究成果の社会還元も図りたい
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Causes of Carryover |
計画的な使用を試みたが、見積もり額、消費税計算額などに誤差が生じた。 また当初予定していた消耗品の一部(セルプレート、呈色板)について、前年度の購入品を再利用したため、約50万円の残額が生じた。実験器具の再利用の可否を検討するための試みであった。旅費は、出席、発表した理科教育学会の開催が、勤務校であったため、旅費等の支出が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究目的の一つである「マイクロスケール実験の学校現場への普及」を目指すため、実験器具の整備を行い、研究協力者との連携の下、器具を有効に活用して、その目的を果たしたい。個別実験の形態を目指しているため、器具の個数が多くなる。そのため学校現場では器具の整備が追いつかない可能性がある。研究の趣旨を理解し、その目的の達成のため実践の場を提供していただく現場には、積極的に器具の準備の面でサポートしたい。また、実験教室等での実践にも力をいれ、使い方を伝えるための器具等の購入にも充てたい。
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