2014 Fiscal Year Research-status Report
科学技術の商業化を題材とする『教育モデル』の確立とその有効性の評価
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26350237
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高田 仁 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70363314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 浩介 大阪大学, 学内共同利用施設等, 助教 (90444504)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 科学技術の商業化 / 産学連携 / イノベーション / 教育効果の測定 / アントレプレナーシップ / エフェクチュエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年8月開催の、大阪大学における技術商業化教育プログラム(G-TEC)を対象として、シラバス、受講者、教育環境、演習課題として取り組んだ科学技術などの構成要素が、受講者の教育効果と科学技術の商業化促進効果にどのような影響を与えたかについて、定量的・定性的分析を試みた。同様に、九州大学ビジネススクールの開講科目においても、G-TECとの比較分析を試みた。更に、海外の類似事例として、ボストン大学ビジネススクールの開講科目について、担当教員に対して教育プログラムの設計と実施のポイントについて情報収集を行うとともに、履修者に対して、教育プログラムの効果や有効性に関するインタビュー調査を実施した。 その結果、教育効果の定量的把握については、サンプル数の制約もあり、有効な効果測定指標を見出すには至らなかった。一方、受講者へのインタビュー調査からは、(1)技術と市場の洞察力の向上、(2)リーダーシップの発揮、(3)異分野・異業種への寛容とネットワーク拡大志向、(4)エコシステムへの働きかけ、といった効果が傾向的に見られることが明らかとなった。特に、市場と技術の両方の洞察を深めるために、企業をはじめとする学外の専門家に対してインタビューを活発に行うか否かが、教育効果や最終アウトプットの質に重要な意味を持つことが明らかとなった。 商業化促進については、教育プログラムの直接的な効果は認め難いものの、プログラムの実施を通じて案件担当者(産学連携本部所属)のコミットメントが高まり、結果的に商業化が促進されるというケースが存在することが明らかとなった。この点は、近年経営学の領域で注目を集めているエフェクチュエーションの理論と整合的である可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)技術商業化教育プログラムの構成要素の抽出:大阪大学、九州大学、米国の大学の同種の教育プログラムを対象として、教育効果または商業化促進効果に影響しうるプログラムの構成要素について、シラバスの分析および関係者との意見交換を通じて抽出を試みた。その中で、当初の想定とは別な要因が影響している可能性が示唆されたことから、その点について更なる調査研究が必要との認識に至った。 (2)教育効果および商業化促進効果の測定指標の抽出、測定方法の決定:上記の関係者との意見交換およびプログラムの参与観察から、教育効果および商業化促進効果の測定指標の抽出を試みた。前述の通り定量指標についてはサンプル数の制約によって当初の想定では抽出が困難であり、また、他の要因が影響している可能性が示唆されたこともあり、本項目についても引き続き調査研究を行い、体系的に再整理する必要がある。 (3)大阪大学・九州大学・米国等の大学の技術商業化教育プログラムの調査及び国際比較:大阪大学・九州大学・米国等の大学で開講された同種の教育プロラムの運営状況の把握や受講者へのインタビューと比較を通じて、効果に影響するプログラムの設計と実施のポイントの把握を行うことが出来た。これら複数プログラムの比較に基づく知見は、次年度以降の研究に反映させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の分析の枠組みについて、定量指標の抽出の限界や当初の想定とは異なる要因の影響が判明したため、次年度以降の研究において、再度、分析のフレームワークについて検討し、改善を試みる。 教育効果については、教育プログラム受講者がステークホルダーへの働きかけと関心の獲得によって、技術と市場の洞察を深めることが特に重要と思われることから、この点を中心に更なる調査研究を行う。 商業化促進効果については、教育プログラムの受講者の取組状況のみならず、案件担当者のコミットメントが大きく影響している可能性が示唆された。従って、分析対象案件について、教育プログラムの実施段階のみに焦点を当てるのではなく、その前後を含む商業化に向けた一連のプロセスにおいて、案件担当者の行動(ステークホルダーへの働きかけ)や発明者とのコミュニケーション、エコシステムとの接続性について事例ごとに分析を行う。 上記のような商業化のプロセスで、要所毎のステークホルダーへの働きかけがその後の商業化の進展につながる様は、近年経営学の領域で注目されているエフェクチュエーションの理論と整合的である可能性がある。従って、この点を念頭に置き、教育効果と商業化促進効果に影響する要因分析を、より俯瞰したプロセスを対象に行うことで、教育プログラムの効果的な設計や運営に資する知見を得る予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者側の海外先進事例調査の予定に変更が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実施予定であった調査を今回実施する予定である。
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Research Products
(2 results)