2014 Fiscal Year Research-status Report
鍵教材とプロセス・スキルを接点にした理科カリキュラム・マップの作成
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26350238
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邉 重義 熊本大学, 教育学部, 准教授 (00230962)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鍵教材 / 光 / カリキュラム・マップ / 教材研究 / プロセス・スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26度は,①鍵教材の抽出と教材研究・授業研究,②鍵概念を接点にしたカリキュラム・マップの作成,③基本的なプロセススキルの抽出に取り組んだ。①については,小・中学校における「光」を鍵教材として抽出し,小学3年「かげのでき方と太陽の光」「光の性質」をつなぐための教材研究と教材開発を行い,影の動きの連続性に関する動画教材,影の動きを再現するモデル教材,影のでき方に注目する導入教材を開発した。これらの教材については,平成27年度に授業実践を通して,検証を行う予定である。また,生物教育内容を事例として,教科書における学習の文脈から中学校と高等学校の学習プロセスを分析し,基本概念を柱としたときの教科書の記載様式と観察実験等の関連性に課題があることを明らかにした。②については,①で行った「光」を鍵としたカリキュラム・マップの試案を作成した。その試案では,学習内容間を結びつけるための「光」に関する4つの観点を提示することができた。また,小学校における学習事例を分析し,地域教材の画像情報を利用して,学習事項をマッピングすることによる学習の構造化の効果を調査した。その結果,授業で利用した画像を用いることで画像に関する説明と画像間の関連づけを導けることや,画像間のリンクの鍵はキーワードや因果関係であり,単元構成がマッピングに影響していることがわかった。③については,小学校理科の教科書を分析して,「課題」「活動(観察実験等)」「プロセス・スキル」を抽出した一覧表を作成することができた。この一覧表は,基本的なスキルの抽出およびそのスキルと課題・活動との関連を分析する基礎資料になる。なお,小学校理科教科書は平成27年度に改訂版が出版されるので,それらを材料にして同様の基礎資料づくりを進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実施計画において,鍵教材の抽出については,小・中学校段階のすべての学習内容から適切なもの抽出する段階には至らなかったが,「光」教材を事例にして教材研究や教材開発を行い,カリキュラム・マップの試案の作成が行えた。この成果は,平成27年度以降において,他の鍵教材についても同様のアプローチで研究を展開するための雛型になる。また,カリキュラム・マップの作成では,授業実践の分析から,学習者による学習内容の構造化について分析できた。基本的なプロセス・スキルの抽出においても基礎資料となるデータの作成が行えた。これらの成果は,本研究の基本的な骨子に関わるもので,1年目の成果としてはほぼ順調に進んでいると言える。しかし,小学校教科書の改訂時期に重なったため,教科書を材料として行う分析については,平成27年度に改めて実施し直す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,「光」教材を例にして作成したカリキュラム・マップを練り上げるとともに,他の鍵教材の抽出を行い,鍵教材間の関連性についても分析する。また,小学校理科教科書の改訂があったため,平成27年度から使用される教科書を用いて「課題」「活動(観察・実験等)」「プロセス・スキル」の抽出を行い,それらの間の関連性,プロセス・スキル間の関連性を明らかにするとともに,プロセス・スキルを観点としたカリキュラム・マップの試作を行う。また,「光」教材を例にして作成した教材等を用いて実践を行い,学習の実態から教材の特性を見直し,カリキュラム・マップに反映させることを試みる。
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Research Products
(6 results)