2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Rubric-based Evaluation Forms on Academic Essays in Japanese
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26350243
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
池田 隆介 北九州市立大学, 基盤教育センターひびきの分室, 教授 (60347672)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本語 / レポート / ルーブリック / 評価 / 大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトにおいては、日本の大学で教育を受ける多様な学習者のアカデミック・ライティング執筆能力向上に資する評価型式の開発がすすめられた。プロジェクト最終年度となる2017年度は、ルーブリック式レポート評価表(以下、ルーブリック)が大学生の日本語レポート執筆能力の向上に貢献し得るか否かについて、開発したルーブリックの試行を通じ、具体的な実態の観察・検討を行った。本プロジェクトで開発したルーブリック導入は、大学生のレポートに、下記のような変化を実際に発生させるということが調査により明らかになった。 変化1:レポートの体裁への配慮/変化2:文体の修正/変化3:情報の補足・充実/変化4:文章構成への意識づけ ルーブリックには、上記のような変化を促す効果があるということが検証された。つまり、本プロジェクトにおいて開発された評価型式は、学習者の成果物の診断ではなく、執筆活動の形成的評価として効果を発揮したとみなすことができる。ここから、ルーブリックには、レポート執筆能力の向上に一定ていどは貢献できる機能が備わっているとの結論を得ることができた。ただし、今後の課題として以下の点が挙げられる。 課題1:診断的評価の妥当性との整合性/課題2:常に変動する学習者属性への対応/課題3:具体的なルーブリックについての説明の円滑化 これらの課題を克服するため、「学習者自信をルーブリック作成に参与させる」などの試みを実施することが効果的と考えられる。多様なアカデミック・ライティングの目的に対応するためには、教員から提供されるルーブリックに依存するだけでは限界がある。学習者を「評価される側」に常時置くのではなく、自らの執筆活動を主体的に評価していく視点を涵養し、「学習としての評価(Assessment as Learning)」の実践が不可欠となる。
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Research Products
(4 results)