2014 Fiscal Year Research-status Report
環境課題が庸俗なアジアの自治体におけるコミュニティ支援型環境教育の研究
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26350244
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
高橋 正弘 大正大学, 人間学部, 教授 (10360786)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境教育 / コミュニティ / 環境課題 / 庸俗 / 野生復帰 / 絶滅危惧種 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成26年度は、日本国内では3つのコミュニティ、具体的には長崎県対馬市、新潟県佐渡市、沖縄県与那国町、海外については、カンボジア国シェムリアップ市郊外の調査を行った。 それぞれの調査対象地域は環境の課題よりも開発課題が優先しているか、もしくは環境の課題も存在するが、地域内に局所的には当該環境課題が該当しない地区が存在するようなところである。そのようなコミュニティでの環境教育のニーズ調査を実施し、コミュニティレベルでの環境教育の取り組みの有無およびその実態・内容・手法等の把握を行った。 アプローチとして、対象としたすべての自治体を実際に訪問し、環境教育や環境課題等に関与する関係者への聞き取り調査を行った。そして設定した聞き取り調査のフレームワークに基づいて聞き取り調査を行った。聞き取り調査の内容については、「当該地域で環境教育は教育実践上、どの程度の優先度が置かれているか?」「当該地域において改善すべき環境の課題はどのようなものと認識されているか?」「環境教育ではそのような課題が扱われているか、具体的にどう扱われているか?」などとした。またこれらの中の2つの自治体においては、住民に対するアンケート調査を行った。アンケート調査の内容としては、特定の野生生物の種を取り上げてその「野生復帰事業」とそれをめぐる住民意識の実態や、環境教育への期待と限界などを把握するためのアンケート調査を行った。この調査を通じて、多面的な情報を得るよう留意した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、国内3自治体、国外2自治体を調査対象とすることとしたが、配分額の関係で、国外は1自治体を調査対象とした。研究項目については、改めて調査フレームの見直しを行った結果、より多くの項目、多彩な項目について、その対象とすることとなった。また複数回実施した訪問しての関係者への聞き取り調査以外にも、住民を対象とした比較的大型のアンケート調査も実施することができた。以上のことから、当該研究の目的は、初年度を完了した段階で、おおむね順調に達成している段階にあると判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究二年目にあたる平成27年度以降は、初年度に引き続き、いくつかの自治体での環境教育の調査を継続し、データの収集に努めることとする。また初年度に調査・収集したデータの委細な分析を開始し、それぞれの自治体やコミュニティにおいて展開されるべき環境教育の在り方を精査し、その実施に必要な制度について、検討を行うこととする。2年目はサバティカルを申請し特定の自治体に滞在しての調査を実施する予定であったが、さまざまな理由によりそれが困難となったため、量的な調査であるアンケート調査を組み入れ、短期間の訪問調査による質的調査と組み合わせた調査設計を改めて行うこととする。また初年度の調査地以外にも研究対象を拡大し、環境教育の現場の参与観察やアクションリサーチ等も展開する。
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