2015 Fiscal Year Research-status Report
高校物理基礎における生徒が体感するエネルギー学習の実験教材の開発研究
Project/Area Number |
26350245
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
川村 康文 東京理科大学, 理学部, 教授 (90362087)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 自然エネルギー / 3Dプリンター / 高校物理 / 理科実験教材 / サボニウス型風車風力発電機 / 色素増感太陽電池 / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究実績は,サボニウス型風車風力発電機においては,卓上型サボニウス型風車風力発電機のさらなる前進が認められた。風車の羽根(バケット)の素材を軽量で加工が容易なプラスチックダンボールに変更し,アルミ製のフレームを取り付け,コイルと磁石からなる発電器部分を上端に取り付け露出させることで,発電過程がより見えやすくなった。このサボニウス型風車風力発電機を採用した実験教室においても,子どもたちが発電機構をより理解できるようになり,教材としての効果が高まったことが確認された。 また,色素増感太陽電池搭載型模型自動車においては,3Dプリンターを用いて,シャーシーおよび,車輪とギヤーを設計し,出力を行った。また,色素増感太陽電池セルの製法について,導電性ガラスのサイズおよび二酸化チタンの塗布回数と,完成したセルの発電能力の関係を測定し,最適なサイズと塗布回数を導き出し,より高性能なセルの製法を確立した。結果として模型自動車を太陽光の下で走行させることに成功した。また,コストダウンにもつながった。 さらに,電解液をろ紙に含ませてセルを作成することにより,封止などの方法よりも容易に電解液の蒸発を防ぐことで,長寿命化に成功した。また,負極の製作における炭素の塗布を,従来の鉛筆で塗りつぶす方法から,炭素粉を綿棒で塗りつける方法に変更したところ,より簡単で炭素ののりも良く,セルの性能も向上した。これらにより,模型自動車の走行距離も伸びた。 さらに,ギヤーではコストが高いので,輪ゴムを用いた走行システムを開発した。これにより,より安価な色素増感太陽電池搭載型模型自動車の実験教材が完成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サボニウス型風車風力発電機においては,卓上型のタイプで,自然に吹く風のみで,夜に新聞の文字が読めるマシンで,怪我などをしないで安全で安心な実験教材にするために,新規の素材を用いたり,3Dプリンターでフライホイルや土台を新規開発を行った。 また,色素増感太陽電池においては,ろ紙を挟むことにより電解液の蒸発防止に成功した。また,シャーシーや車輪やギヤーを3Dプリンターで設計し,色素増感太陽電池を搭載した模型自動車の走行に成功した。さらに,理科実験教材として,より安価なマシンにしあげるため,ギヤー駆動式ではなく,より難しいゴムベルト駆動式に改良した。この過程は困難を極め,多大な努力をはらうことになったが,そのかいもあり,本年度中に走行に成功した。 以上のことを,学校や出前実験教室に出向き,授業実践を行うことで,改良および確認を行った。また,教員免許更新講習においてもこれらの実験指導を行い,科学リテラシーの向上に寄与した。
|
Strategy for Future Research Activity |
サボニウス型風車風力発電において,協力者の目処がついたので,その学校の校庭への設置,および電池ないし太陽電池で常時動作する消費電力の少ないデータロガーを用いた発電量等の観測を実現する。また,引き続きサボニウス型風車風力発電の機能向上を目指し,開発を継続する。 色素増感太陽電池においては,さらなる発電セルの機能向上や安定化を目指し改良を行う。これにより子どもたちがより模型自動車の良好な稼働を実現し,実験を成功させられる教材を目指す。 エネルギー環境学習への展開については,引き続き出前授業や実験講座,教員免許更新講習の実施により展開を継続する。
|
Causes of Carryover |
材料費の削減努力により,物品費が想定以上に抑えられたことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度研究の際に実験材料費として使用する予定である。
|