2014 Fiscal Year Research-status Report
実践分析を取り入れた新しい環境教育プログラム評価手法の開発
Project/Area Number |
26350248
|
Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
笠井 利浩 福井工業大学, 工学部, 准教授 (60279396)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 史代 福井工業大学, 工学部, 准教授 (20724008)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 環境教育 / ライフサイクル思考 / 小学校 / 中学校 / 緑のカーテン / 雨水活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究初年度である平成26年度は、これまで行ってきた緑のカーテンを用いたライフサイクル思考(LCT)に基づく環境教育を中学校に延長して追加実施した。この中学校には、これまでLCTに基づく環境教育を実施してきた小学校の児童全員が進学し、またその他のに2小学校からも進学する。今年度の環境教育実施前となる6月に中学校の全校生徒を対象に質問紙調査を実施したところ、統制群となる2小学校の卒業生と比較して実践群の小学校卒業生の得点はLCTの基本となる「批判的思考態度尺度」において全ての因子で高く、有意な結果が得られた。また、「学校生活スキル尺度・進路選択スキル」に関する得点については実践小学校卒業の2年生のみで得点が高く、有意な結果が得られた。この学年は、唯一小学校時に2回のLCTに基づく環境教育を受けている。この事からLCTに基づく環境教育の学習効果定着のための繰り返し学習の重要性が示唆された。今年度は、実践中の小学校と同様の国内最大級の緑のカーテン(幅36m、高さ15m)を設置し、完成後に記念撮影とLCTに基づく環境教育授業を行った。一方、LCTに基づく環境教育を継続実施中の小学校では、雨水で育てる緑のカーテンを題材としたLCTに基づく環境教育授業の内容がほぼ完成した。緑のカーテンの土作りから撤去までの全行程に児童が積極的に参加すると共に、毎年7月に小学校で実施される地区祭りでは、緑のカーテンをスクリーンに見立てた国内初のプロジェクションマッピングを実施した。映写内容にはこの緑のカーテンを利用したLCTに基づく環境教育の実践が含まれ、小学校から地域に対してもLCTに基づく環境教育を発信した。また、夏に開催された全国規模の雨水活用に関するシンポジウムにおいても寸劇仕立てで環境教育の内容を児童が発表し、さらなる教育効果の向上が果たせた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究3年間の取組内容は、①環境教育における「繰返し教育」効果の検証、②環境教育プログラムの総合評価法の開発(児童生徒への個人レベルの成果+プログラム自体の評価)、③①および②の内容を含めた、ライフサイクル思考(LCT)に基づく環境教育プログラム開発とその手引書の作成 である。①の項目については今年度の質問紙調査で「繰返し教育」の効果が明らかとなり、今後さらなる検証を進めてゆく。また、②の評価手法についても現在実施している質問紙調査法に加えて自由記述式の感想文方式についても検討を行っており、初年度としてはほぼ満足できる進捗状況となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
中学校にも雨水活用装置を導入し、緑のカーテンへの散水に利用することによる環境削減効果と設置時の環境負荷量を教材にLCTに基づく環境教育授業を展開する。また、環境教育の効果測定を目的とした質問紙項目の検討などを行って、評価手法の確立を目指す。繰返し授業の効果に関しては、今年度以降対象となる中学生の生徒が実践中の小学校において複数回のLCTに基づく環境教育を受けており、調査結果が注目される。小学校でのLCTに基づく環境教育プログラムの内容はほぼ完成していることから、一部修正を行ってより完成度の高いものとする。
|
Causes of Carryover |
研究代表者、共同研究者使用予算の端数分として数百円づつ発生した未使用金の合計として次年度使用額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度予算の一部として消耗品等に使用させていただく。
|