2014 Fiscal Year Research-status Report
幼小連携を視野に入れた音楽と科学のコラボレーションによるアウトリーチ開発
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26350249
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
荒川 恵子 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (20319445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 典子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (30413363)
岡林 典子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30331672)
谷口 高士 大阪学院大学, 情報学部, 教授 (20249395)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音楽と科学のコラボレーション / 科学教育 / 音楽教育 / 幼小連携 / 幼児 / アウトリーチ / 訪問演奏会 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児にとって、「聴く」という行動が、全ての音楽行動の基盤であることから、生演奏を聴いて音楽に関する感性を育め、同時に科学的な知的好奇心の芽生えを育める教育内容の開発が極めて意義深いと考えて、「音楽」と「科学」のコラボレーションによるアウトリーチ活動(訪問演奏会形式)を行った。どのような内容、提示方法が子どもたちにとって魅力的であり、かつ感性を育み、知的好奇心をより喚起することができるのか、有効性を検証しながらエビデンスに基づいて教育内容を開発し、小学校の学びに繋げることを目的としている。 平成26年度は、1、「篠笛VSフルート」、「三味線VSギター」による和洋楽器比較、2、4次元地球儀「ダジック・アース」を用いて「地球の公転及び自転」、「四季の移り変わり」を解説、3、「フィヨルド」、「雪の結晶」の紹介、4、「雪」、「幽霊」などハメモノ(上方落語における邦楽効果音)紹介、5、月暈の解説、6、ギターによる体験学習、以上の科学的内容を含んだ演奏会について分析を行なった。主に演奏会時の園児、児童の反応を観察や行動分析によって考察した。その結果、園児は「比較」を強調すると対象を理解しやすい、クラシック音楽を集中して聴くことができ、音や演奏者の身振りを模倣したりする園児もいる、天体に興味を持つ、身近な話題を糸口にすると効果的である、ギターの振動を体感して驚きがあるなどが示唆された。更に、教員、保護者には評価に関する調査を行い、総合的に有効性を検証した。 他にも、楽器の長さと音の高さの関係、留鳥と渡り鳥の生態、生物の糞から生物の行動様式、食生活、胃腸の構造の相違を知り、食物連鎖による自然界のサイクルを理解する科学的内容の訪問演奏会も行った。追跡調査をする為に、ギターや音の出るパイプやテーマに関連した絵本を貸し出したところ、普段の保育に演奏会の影響が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼稚園において「音楽」と「科学」の独創的なコラボレーションをアウトリーチ(訪問演奏会形式)で導入する活動に取り組み、よりエビデンスに基づいて、提示内容を開発し、研究活動を展開しようとしている。アウトリーチで導入する教育内容について、申請当初の計画では1、「恐竜に出会う」、2、「生物を観察する(分類、行動分析、食物連鎖)」、3、「音を見よう(波形の視覚化他)」、4、「宇宙空間に飛び出そう」を予定していた。平成26年度は、2、3についてアウトリーチ活動を行なうことができた。当初予定していたうちの半分について着手できたことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
活動の背景であり、根幹とすら言える「音楽教育と科学教育における幼小連携には、どのような必然性、課題、可能性があるのか」を考察する為に、1、小学校の「音楽」の教育内容と幼児・児童を対象とした音楽鑑賞教育の検討、2、小学校の「理科」の教育内容と幼児・児童を対象とした科学教育の検討、3、幼稚園・小学校に向けた科学博物館などのアウトリーチの内容検討、上記1-3について、更に緻密に検討を行いたいと考えている。これまでの活動記録についても発達的視点からとらえ直して徹底的な分析を行いたい。その上で、本年度後半は、「宇宙空間に飛び出そう」の教育内容について、重点的に研究したいと考えている。私立保育園、私立幼稚園、私立小学校において、発達に応じた内容によるアウトリーチ活動を行い、それを対象として、園児達の反応を分析し、プログラム開発に取り組みたい。追跡調査も行う予定である。 昨年と同じく、アウトリーチ(訪問演奏会)実施費用、学会発表に関わる費用に主に残額を使う予定である。
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Causes of Carryover |
支出が残った理由は、学会に全員で行こうとして予算を取っていたのだが、諸事情により全員では行けなかったことや、楽譜、CD、先行研究の書籍などにあまり使わなかったことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、アウトリーチ実施の際、録画、演奏、アンケート調査集計作業を依頼する学生アルバイトへの謝礼に使いたい。申請時の予定では、アウトリーチ実施を3回予定していたが、数回増えることになると思われる。天体編で夏に数回アウトリーチの実施をしたい。
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