2015 Fiscal Year Research-status Report
幼小連携を視野に入れた音楽と科学のコラボレーションによるアウトリーチ開発
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26350249
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
荒川 恵子 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (20319445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 典子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (30413363)
岡林 典子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30331672)
谷口 高士 大阪学院大学, 情報学部, 教授 (20249395)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音楽と科学のコラボレーション / 幼児 / アウトリーチ / 幼稚園訪問演奏会 / 音楽教育 / 科学教育 / 幼小連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本音楽表現学会 美ら大会(於:沖縄県立芸術大学 2015年6月21日)にて、「幼稚園訪問演奏会における「音楽と科学のコラボレーション」の内容検討―生物の生態から自然のサイクルを学ぶ内容を中心としてー」と題し、2015年2月-3月期に開催した訪問演奏会における内容の分析結果を報告した。大阪府下A幼稚園では、「留鳥と渡り鳥」「地球の公転と季節」「楽器の長さによる音高の違い」を学べ、京都市内B幼稚園では「糞から知る動物の食性、行動様式、胃腸の構造」「食物連鎖」「雪の結晶」、落語「転失気」ハメモノ(雪・幽霊)も学べる演奏会を行った。観察により、両園とも園児が、演奏、科学の話、落語を集中して聞く様子が確認できた。 また追跡調査の結果、A幼稚園の保育室では、演奏を模倣する園児や、鳥の画像のカード、ドレミパイプを活用した新しい遊びへの展開が見られ、B幼稚園でも配布した関連性のある絵本を熱心に読み、興味の広がりを示す様子が見られた。今回、教諭の記述による追跡調査を行い、その結果を定量化し分類して分析したが、このことにより普段の保育への本演奏会の影響について検証することが可能となり、「エビデンスに基づいたコンテンツ開発」の目標に近づいた。 A幼稚園については、関西楽理研究会発行「関西楽理研究会」第32号に「幼稚園訪問演奏会における音楽と科学のコラボレーションの内容検討 -鳥の生態と音の物理的側面に焦点を当てた実践例を用いて-」(pp88-pp112)と題して研究報告を書いた。 B幼稚園については、京都女子大学発行『発達教育学部紀要』第12号に「幼稚園における演奏会で科学を学ぶー動物の糞からいのちと地球の不思議を学ぶ音楽と科学のコラボレーションによるアウトリーチ活動の試み-」(pp59-pp68)と題して原著論文を書いた。他に、天体(1件)、海の生き物(2件)に関する演奏会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「幼小連携を視野に入れた音楽と科学のコラボレーション」をテーマに、エビデンスに基づいて、アウトリーチのコンテンツ開発を行うことが本研究の目標である。アウトリーチの内容については、当初(Ⅰ)「恐竜に出会う」、(Ⅱ)「生物を観察する(分類、行動分析、食物連鎖)」、(Ⅲ)「音を見よう(波形の視覚化他)」、(Ⅳ)「宇宙空間に飛び出そう」を挙げた。このうち、(Ⅱ)(Ⅲ)については、着手することができた。 アウトリーチの記録映像におけるこどもの観察、行動分析のアプローチ方法については、様々な課題がある。演奏や科学の話に集中しているかどうか、保護者が内容を受け入れているかどうかといった観点で考察してきたが、もっと論点を絞ってアプローチできると、より学術的な研究となれるのであろう。 また1回のみの演奏会に焦点をあててきたが、普段の保育の場にて、演奏会の影響を検証できる追跡調査の分析方法を今回開発できたことは、大きな前進であろう。幼児期における科学教育、音楽教育の先行研究についてのリサーチを十分に行えないまま、次々と内容を新たにして訪問演奏会を行っているが、今後、演奏会と並行して先行研究のリサーチを行い、幼児に科学的内容を示すことの意義について、またそれを音楽と絡めて提示することの意義について、本質的な議論を深めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
「幼小連携を視野に入れた音楽と科学のコラボレーション」をテーマに、エビデンスに基づいて、アウトリーチのコンテンツ開発を行うことが本研究の目標であるが、最初に十分に行えなかった幼児期における科学教育、音楽教育の先行研究についてのリサーチを行い、幼児に科学的内容を示すことの意義について、またそれを音楽と絡めて提示することの意義について、本質的な議論を深めたい。 それと並行して、当初(Ⅰ)「恐竜に出会う」、(Ⅱ)「生物を観察する(分類、行動分析、食物連鎖)」、(Ⅲ)「音を見よう(波形の視覚化他)」、(Ⅳ)「宇宙空間に飛び出そう」を挙げたうち、まだ十分には着手できていない(Ⅰ)と(Ⅳ)について着手し、演奏会を実施したいと考えている。京都大学理学部地球物理学科制作の4次元地球儀Dagikを使い、ダイナミックな内容のものを考案したいと考えている。幼稚園の中にとどまらず、市民交流企画として行い、「音楽と科学のコラボレーション」により親子のコミュニケーションが促進できる一助となればとも考えている。 また普段の保育の場にて、演奏会の影響を検証できる追跡調査の分析方法を今回開発できたことは、大きな前進であるので、普段の保育の場における観察や追跡調査などをもっと本格的に行えるようにその開拓も検討してみたい。
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Causes of Carryover |
当初、購入を予定していた楽譜、CD、文具、書籍などを購入せず、調査関連のアルバイトは雇わなかったので予定より余っている。また全員で行こうとしていた学会やアウトリーチに、全員では行かなかったことから金額が余った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、アウトリーチを新しく3件ほど(「恐竜と出会う」「宇宙に飛び出そう」など)行いつつ、今までの成果をまとめて報告書を作成したいと考えている。主にその原稿作成のための資料収集や印刷費用に使いたいと考えている。
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Research Products
(3 results)