2016 Fiscal Year Research-status Report
「小さな科学の芽」を本当の「科学力」へと育てる体験型科学教育システムの開発
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26350253
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Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
白井 仁人 一関工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00310996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福村 卓也 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50360326)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 科学教育 / 教育方法の開発 / 科学基礎概念 / 科学館 / 概念理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)マイクロ科学館の実施: 平成28年度は小中学生向けのマイクロ科学館を盛岡で実施した。岩手県中部地域の多数の小中学生に対してさまざまな自然現象を見せたり、論理的な思考を導入したりすることができた。平成28年度の新たな試みとしてマイクロ科学館を盛岡で実施した理由は、昨年度までのマイクロ科学館はすべて一関で実施してきたからである。一関実施だと確かにやりやすく年に複数回実施できるが、一関ばかりでは岩手県南部の小中学生ばかりが対象となる。もっと広く科学教育を実施するため盛岡まで範囲を広げて実施した。初めて実施した盛岡でのマイクロ科学館も盛況であった。 (2)論文発表: 平成28年度までに行った科学教育に関する研究成果を2本の論文としてまとめ投稿した。投稿論文の一つ目は「マイクロ科学館:非都市部の子供たちのための小型科学館の開発」であり「科学教育」に投稿したが掲載決定に至らなかった。一部修正し、別の論文誌に再投稿する予定である。二つ目は「一関高専における科学教育と長期データ分析」であり、一関高専で行ってきた科学教育(環境教育やマイクロ科学館を含むさまざまな試み)の成果として長期データ分析を行った。この論文は掲載が決定した。 (3)学会発表: 平成26-28年度の本研究の成果を平成「28年度全国高専フォーラム」にて発表した。来年度以降も学会発表を活発させていく予定である。 (4)学会参加: 日本教育工学会、科学基礎論学会、科学技術人材育成シンポジウムなどに出席し、科学教育や科学基礎概念理解などについて議論した。 (5)資料調査: 各都市にある科学館や科学博物館などを訪問し、展示内容や教育方法の工夫などについて調査した。また、東京大学図書館などを訪れ、科学教育に関する文献調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、論文を2本投稿することができ、また、全国フォーラムでの発表や、盛岡地区でのマイクロ科学館の実施など、新たな展開へと進むことができた。これらのことから研究は順調に進展していると判断できる。また、予定していたマイクロ科学館のシリーズA、B、C、D、Eについても順調に開発を進めている。ただし、シリーズの内容については少し変更した。これはシリーズEのメカニズムを理解させる装置開発が困難で科学教育の効果を考えたとき、物理的な運動を理解させる装置の方が良いと考えたからである。そのため一部内容を変更したが、予定通りすでに4シリーズの開発を終え、順調にマイクロ科学館を実施できている。平成29年度は予定通り、シリーズDの「熱」を理解させる装置を開発し、5シリーズでマイクロ科学館を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、研究計画通りマイクロ科学館のシリーズD:「熱」を理解させる装置を開発し、5つのシリーズ(完成形)でマイクロ科学館を実施する。また、昨年度に続き、論文発表と学会発表を複数行い、資料調査についても活発化させる。さらに、平成29年度は、課題終了後の発展まで視野に入れ、新たな展開へと研究を進める予定である。まず、新たな研究分担者を1名追加する。それにより、本研究(体験型科学教育)と前研究(科学基礎概念理解)そして分担者の研究(科学実験教育)を融合的に発展させ、新たな展開へと進めることを試みる。つまり、平成29年度は(1)5シリーズの完成、(2)論文発表、(3)学会発表、(4)資料調査、(5)新段階への進化の試みを行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度に実支出額(1,155千円)が所要額(1,332千円)を下回り、次年度使用額が生じた主な理由は、資料調査の回数が予定より少なく(体験型科学教育方法の外国調査を行わなかった)、そのための旅費が少なくすんだためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額176,367円は、平成29年度に主に資料調査(体験型科学教育方法の調査)のために利用する。とくに、本研究の新段階への展開を視野に、体験型科学教育方法だけでなく、科学基礎概念の教育方法の研究や科学史科学哲学を利用した科学学習動機づけの研究うなどのための旅費として使用する。
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