2016 Fiscal Year Research-status Report
メタ認知に働きかけて創造的因果推理力を高める学習プログラムの開発
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26350278
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宮 真智子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (90170828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 洋介 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (60769602)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタ認知 / 創造的因果推理 / 学習プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「創造的因果推理力」すなわち先入観や思い込みにとらわれずにさまざまな因果関係の可能性に気づいて仮説生成を行うとともに,当初の仮説に縛られず多様な解釈の可能性を考慮して仮説評価を行う力を育成することを目的とする。創造的に因果関係を推理するためには,単一の発想にとらわれてしまいがちな人間の思考傾向を理解し意識的に改善すること,つまり思考に対するメタ認知が必要である。初年度である平成26年度には,こうしたメタ認知を促すテキストの試作版を開発した。研究実施2年目にあたる平成27年度は,前年度に試作したテキストの内容を修正し,読みやすくした。新版のテキストを,約150名の生徒に読んでもらい,感想を求めた。その結果,多くの場合,興味深く読まれ,また,出来事の原因を創造的に考える(創造的に仮説を立てる)ことの重要さや興味深さを理解されたことがわかった。しかし,このテキストでは,創造的に仮説を評価する内容が不足しているため,今後,補っていく必要があった。 3年目にあたる平成28年度は,前年度に投稿した欧文誌Thinking Skills and Creativity(Elsevier 社)の査読者とやりとりを行い,改稿を経て採択に至った。オープンアクセスの扱いにすることで,他の研究者が自由に参照できるようにした。その概要は,創造的因果推理のトレーニングのための課題集を用いてトレーニングを行い,トレーニング条件と非トレーニング条件の事前段階と事後段階のパフォーマンスを比較・分析した結果,トレーニングの成果が認められ,また,トレーニングに対する評定やふり返りから,参加者がトレーニングの意義や効果を十分に理解し,高い意欲や肯定的な態度を獲得していたことを示すものであった。 さらに,テキストの充実を図り,『考え方学習2.0:メタ認知を使って創造的に考える方法』として刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に投稿した欧文誌Thinking Skills and Creativity(Elsevier 社)の査読者とのやりとりおよび改稿にやや時間を要した。その中には,最初に依頼した英文校閲会社による校閲結果が,1人の査読者から不適切との評価を受け,別の校閲会社に再度依頼したことも含まれる。 また,多様な読者からのコメントを受け,『考え方学習2.0:メタ認知を使って創造的に考える方法』を改訂するために時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
先述した,Thinking Skills and Creativityへの投稿原稿の改稿および『考え方学習2.0:メタ認知を使って創造的に考える方法』の刊行に時間を要したため,タブレット端末教材化が遅れており,期間延長申請を行った。29年度予算を活用して,タブレット端末教材化を行い,創造的な仮説評価力を育てる学習をさらに充実させる予定である。また,今年度も,本研究課題の成果を,学会での口頭発表および論文発表といった形で公表することを予定している。
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Causes of Carryover |
研究成果を欧文誌に投稿した際の査読者とのやりとりおよび改稿にやや時間を要し,また,開発テキストの改訂を何度も行ったため,タブレット端末教材化を行うことや,創造的な仮説評価力を育てる学習をさらに充実させるという作業が滞っている。また,成果発表も十分とは言い難い。これらに予算を使う必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算を活用して,タブレット端末教材化を行い,創造的な仮説評価力を育てる学習をさらに充実させる予定である。また,今年度も,本研究課題の成果を,学会での口頭発表および論文発表といった形で公表することを予定している。
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Research Products
(6 results)