2016 Fiscal Year Research-status Report
PBLにおける仮想と現実での役割を両立させるコミュニケーション支援ツールの開発
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26350287
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐々木 茂 帝京大学, 理工学部, 准教授 (70328087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 博芳 帝京大学, 理工学部, 教授 (40240519)
高井 久美子 帝京大学, 理工学部, 講師 (00527682)
荒井 正之 帝京大学, 理工学部, 教授 (70212602)
小川 充洋 帝京大学, 理工学部, 講師 (30322085)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コミュニケーション支援 / プロジェクト管理 / PBL / バーチャルとリアル / 教授学習支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「プロジェクト管理」を受講する3年生が,「プロジェクト演習」を受講する1年生のプロジェクトにおいて,プロジェクト管理者(PM)として,プロジェクトを計画・実施する演習を対象として,3年生のPMがプロジェクトのステークホルダーと必要なコミュニケーションをとりながらプロジェクト管理を実践することを支援する「コミュニケーション支援ツール」を開発している.この授業では,学生と教員に仮想的な状況設定と役を設定して,ロールプレイ的な要素を取り込み,学生がプロジェクトの意味を考え,必要な相手とコミュニケーションをとることを促す. 平成27年度に試作したツールを用いて授業実践を行った結果,物語的な状況と役の設定よりも,周囲(ステークホルダー)の働きかけにより,本人が自分の置かれている状況を認識することを促すことの方が有効であるという知見を得た.そのため平成28年度は,PM役の3年生が状況ごとに必要となるコミュニケーションについて,その相手や内容を洗い出し,様式を作成することで,様式を埋めていくことで必要なコミュニケーションが取れる演習モデルを考案した.また,コミュニケーション支援ツールに様式を用意し,この演習モデルに沿った活動を支援するツールとして用いた.実践の結果,3年生が手順に沿って計画を立案・実施する機能については一定の評価を得たが,1年生からは使いにくいという意見があった.これは,支援ツールが3年生の活動の流れに沿った利用手順となっていたため,1年生の入力項目にたどり着くまでに多くの手順を必要としていたためであろうと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたコミュニケーション支援ツールを試作して,授業において使用することができたことから,概ね順調に進展していると考えられる.授業実践を通して,PM役の学生の取り組みに有効なのが,物語的な状況設定ではなく,周囲からの積極的な関わりであることが示唆された.このため,本授業で提案する演習モデルを一部修正し,そのモデルに沿ったコミュニケーション支援ツールとして作り変えた.具体的には,仮想的な状況設定における役を割りあてたコミュニケーションから,コミュニケーションの相手と内容をあらかじめ様式として用意し,支援ツールの項目に沿って情報を入力していくことでコミュニケーションが取れるようにした.平成28年度は,実際の授業でこの支援ツールを使用した. 平成27年度および28年度に本研究にて開発したコミュニケーション支援ツールを用いた授業実践結果について発表したが,対象の授業を受講した学生の数が少ないため利用者の評価が十分でないという指摘があった.また,本研究で開発した支援ツールの機能を,一般のPBL授業の計画・実施にも利用できるよう一部拡張を行うことにした.このため平成29年度まで補助事業期間を延長し,支援ツールの機能の修正と授業実践の実施を行うことにした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までの実践を通して明らかとなった課題は次の2点と考えられる.(1)3年生に対しては使いやすいインターフェースであったが,1年生に対しては使いやすいインターフェースではなかった.(2)対象となる3年生の授業の受講者が少なく,十分な実践結果が得られなかった. この結果を受けて,平成29年度はコミュニケーション支援ツールのインターフェースを,1年生のメンバーにとっても使いやすい形に修正する.また,授業実践の実績を積むことを目的として,平成29年度の演習授業においてもコミュニケーション支援ツールを用いる.ただし,これまで対象としてきたプロジェクト管理の授業ではなく,本学情報電子工学科2年次のPBL(Problem Based Learning)授業において,問題解決のプロジェクトの計画立案と実施状況の管理を行う際に,メンバーが情報共有とコミュニケーションをとる際の支援ツールとして用いることを予定している.
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Causes of Carryover |
本研究にて開発したコミュニケーション支援ツールを用いた授業実践を,平成27年度および平成28年度行った結果,本研究にて提案した演習モデルを見直し,必要な様式を用意して周囲とコミュニケーションをとらなければならない状況を形式的に設定することにした.このため,支援ツールに機能追加・修正が必要となるため,修正作業にかかる費用が繰越しとなった. また,対象の授業の受講者数が少なく,十分な実践結果が得られなかったことから,授業実践を引き続き行うため研究期間の延長と,演習におけるコミュニケーション支援ツールを用いた授業補助のための学生の研究補助員のための費用を繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,前半にコミュニケーション支援ツールの修正を行い,演習授業において支援ツールを用いた実践を行う.支援ツールのプログラミングに必要な資料や環境を整えるために支出する.また,授業実践において学生の研究補助員を活用するために支出する.
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Research Products
(2 results)