モーションキャプチャを利用した実践的な機械加工訓練シミュレータの研究

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26350297
• Research Institution: Hiroshima Institute of Technology
• Principal Investigator: 橋本 宣慶 広島工業大学, 工学部, 准教授 (00433699)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: モーションキャプチャ / 旋削加工シミュレーション

Outline of Annual Research Achievements

本年度は，主に機械加工訓練シミュレータの構築を行った．具体的な対象作業は，大学で行う機械加工実習の内容を参考に，汎用旋盤を用いた丸物部品の加工に設定した．これを最終年度に行う予定の訓練効果を検討するための実験における作業とした．
本シミュレータでは，モーションキャプチャにより訓練者の旋盤操作を検出し，それに基づき旋盤動作および旋削加工のシミュレーションを行い，加工の様子（工作物や工具）を３ＤグラフィクスでＨＭＤ（ヘッドマウントディスプレイ）に表示する．この一連の処理時間が長いと訓練者に違和感を与え，訓練を阻害する恐れがある．この時間を短くするため，モーションキャプチャ処理をするPCとシミュレーション処理をするPCによる分散処理を行うこととした．よって，モーションキャプチャを行うためのトラッキングシステムは，データをLAN上でストリーミングする機能を持つものを選定した．訓練者が操作するときの体の動作が大きく現れるように，旋盤は主要な操作器がハンドルやレバーで構成されている機種を選定した．また，旋盤の主軸台，刃物台，心押台がモーションキャプチャ用のマーカの撮影を阻害することがあったため，カメラの台数を増やすことで対応した．
旋削加工のシミュレーションでは，第一段階として簡易的なものを構築した．軸対称形状の工作物を軸方向と角度方向に細かい扇形要素で分割した形状モデルに対して，工具が干渉した部分が無くなり形状が変化する．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

旋盤の選定条件が多く，通常の挙げられる条件とは異なるものであったため，選定の際に業者との情報のやりとりが多くなり，時間がかかってしまった．そのため，本年度で予定していた動作測定の実験は，被験者となる学生のスケジュールの問題（期末試験，春休み）により，実施できなかった．よって，次年度に予定していたシミュレータの構築を進めることとなった．

Strategy for Future Research Activity

被験者に旋盤で「工具送りハンドルを回す」「テーブル送りレバーを動かす」などの操作を行わせ，その動きを測定する．それに基づき，具体的な操作の内容をPCで認識できるパターンマッチングの方法を検討する．
この結果をもとにシミュレータを構築する．旋盤のシミュレーションは，スイッチやレバーの位置による状態をパラメータとした状態遷移と，送りハンドルの位置による工具位置から，誤操作の検出や切削加工の有無などが変化するモデルにより実現する．これと初年度に構築した旋削加工シミュレーションとモーションキャプチャによる旋盤操作の認識処理部を統合する．また，旋削加工シミュレーションは，作業の現実感を高めるため，切削音や切粉の排出の様子が出力するように改良を行う．
本シミュレータを被験者に使用させ，実際の作業を比較対象とした操作感などについてアンケート調査を行い，それに基づき改良および調整を行う．

Causes of Carryover

本年度に予定していた実験を次年度に実施するため，被験者に支払う謝金を繰り越した．
また，モーションキャプチャで使用するカメラは現在の必要十分な台数であるが，今後の実験において増設が必要となることを想定しており，そのための費用として繰り越した．

Expenditure Plan for Carryover Budget

本年度に予定していた実験を実施するときの被験者に支払う謝金に使用する．
また，必要に応じて，モーションキャプチャで使用するカメラの増設を行うために使用する．