2014 Fiscal Year Research-status Report
コンテキストアウェアネスを活用した学習者行動モデルと学習支援環境の開発と実証
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26350299
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Research Institution | The University of Aizu Junior College Division |
Principal Investigator |
中澤 真 会津大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (40288014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 大城 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20386709)
平澤 茂一 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (30147946)
玉木 欽也 青山学院大学, 経営学部, 教授 (40188420)
中野 美知子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70148229)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Learning Analytics / e-learning / 学習者モデル / コンテキストアウェアネス |
Outline of Annual Research Achievements |
学習者の学習状況を正確に把握するために,インタラクティブ性を持った電子教材をHTML5+CSS3+JavaScriptで作成し,各学習者のページ単位の閲覧時間やタイミングだけでなく,記述問題の文字入力の状況,辞書機能の利用状況など詳細な学習履歴を取得できるシステムを用いて実証実験を行った.対象は早稲田大学の授業「Discussion Tutorial English」における個別学習と,会津大学短期大学部の対面型授業「情報ネットワーク」であり,異なる学習スタイルにおいて検証した. この実験では,学習履歴の粒度の細かさがLearning Analytics に与える影響と学習履歴データの構成要素として求められる要件を明らかにした.中でも,学習履歴は学習者を特定するID,教材のページ単位のID,閲覧の時系列的順序の3つの要素のみでかなり精緻な分析が可能であることを示した. さらに,教材の内容や授業のスタイルあるいは分野によらず,教材ページの遷移確率モデルと学習者の閲覧行動の遷移確率モデルのいずれもが,4タイプの遷移モデルで表現できることを示した.これらの結果を用いることで,ページ単位での教材改善やインストラクショナルデザインの再設計,また,学習プロセスに問題のある学習者を抽出するなど,授業支援のための機構を構築することが可能になる.特に,対面型授業の場合,練習問題に取り組んでいる時間中に,教材の読み直しを頻繁に行っている学習者をリアルタイムに抽出して教員やTAへとフィードバックすることにより,適切な授業サポートや授業進度のコントロールを容易に行うことが可能になる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の計画では4つの到達目標を掲げ,この内3つまでを達成した.一つ目の学習者の学習状況を正確に把握するeラーニング環境の構築については,ページ単位の閲覧時間やタイミングだけでなく,記述問題の文字入力の状況,辞書機能の利用状況など,多様なコンテキストを取得できるシステムを用意することができた.2つ目の,取得した学習履歴の時系列分析では,k-means法などの機械学習手法を用いてクラスタリングすることにより,教材ページの遷移確率モデルと学習者の閲覧行動の遷移確率モデルを示すことができた.3つ目の学習者の理解度だけでなく,学習過程など多角的に評価するという点については,記述式問題に取り組む際のプロセスを,閲覧ページの遷移と閲覧時間,また文字入力のタイミングなどから推測し,学習者がどのようなストラテジーを用いて解を導いているかについてもある程度検証することができた. しかし,懸案の一つであったプログラミング学習における学習者の構文エラー,論理エラー情報を取得し,これを分析することについては,構文エラーのタイプと学習者の学習者プロセスとの関係性を明確に示すことがまだできずにいるため,進捗がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の研究の懸案事項であったプログラミング学習における学習者の構文エラー,論理エラー情報を取得する機構はほぼ完成しているため,取得したデータに基づく学習者モデルの構築が主目的となる.その際に,時系列データを一次のマルコフとせず,二次以上のマルコフモデルや隠れマルコフモデルにより解析すること,また,k-means法によるクラスタリング以外に,潜在クラスモデルを用いた統計的解析により,これを明らかにする. また,学習者の入力したプログラムを含む文字列データについては,トピックモデル分析を活用するアプローチをする予定である.
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた実証実験用サーバで行う作業を,既存の設備の中で賄うことができたため,この購入を見送ったことが差額が生じた理由である.これは,今年度の実験では高いスペックのサーバを用いずとも実験を何とか行うことが可能であり,それよりも過去の資源を活用した研究の連続性を優先したことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実証実験では,サーバに高負荷がかかることが予想されるため,初年度に購入を見送ったサーバ購入を執行する予定である.
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