2014 Fiscal Year Research-status Report
スマートフォン及びタブレットゲームが乳幼児の心身に与える影響の研究
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26350320
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
湯地 宏樹 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50290531)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スマートフォン / タブレット / ゲーム / 遊び |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,幼稚園の保護者85名を対象に質問紙調査(予備調査)を実施した。長子について回答を求めた。対象児の月齢は47~156ヵ月であった。 家庭で平日1日あたりスマートフォン/タブレットを使用する時間は15分未満27%,30分未満6%と,絵本,テレビ,ゲーム機と比べると少なく,4つのメディア行動の間の相関はみられなかった。スマートフォン/タブレットの使用は「動画投稿サイトを見る」26%,「ゲーム系のアプリ・ソフトをする」24%,「学習系のアプリ・ソフトをする」18%となっていた。デジタルメディアの使い方のルールや約束については「見る姿勢や画面との距離」90%,「見る時間の長さ」80%であった。 子どもの心身や生活面については「親子のコミュニケーションが増えた」「知識が豊かになった」とプラスの影響がある一方で,「夢中になりすぎるようになった」「生活のリズムが乱れた」とマイナスの影響もあった。しかし,スマートフォン/タブレットを使用する時間との相関は「知識が豊かになった」のみが有意であった。遊び力については「友達やきょうだいに自分から遊び方を教えてあげるほうである」が負の関係にあった。 月齢と「ゲーム機のリモコン・コントローラーを操作する」「文字を入力する」との間に相関がみられた。スマートフォン/タブレットやゲームの操作「指で画面のアイコンをタッチして操作する」「指で上下左右になぞって画面をスライドさせる」「2本の指で画面を縮小させたり拡大させたりする」についてはスマートフォン/タブレットの使用時間と相関があった。 今後サンプル数を増やす必要があるが,先行研究にはなかったスマートフォン/タブレットの心身への影響に対する実際の影響や操作性に関しては,次年度の研究につながる結果だといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,幼稚園や保育所及び認定こども園の乳幼児の保護者に質問紙調査を実施するとともに,同対象児について園での遊びの内容と遊び能力を保育者に評定してもらい、家庭での遊びとの関連を探るという予定であった。これは,保護者の回答と保育者評定を統合させるという手法であり,無記名でなく記名式になる。 しかし,予備調査に留まったのは,保育者がクラス全員の園児の評価するという負担感や保護者が記名式で回答しなければならないところに課題があったからである。したがって,プライバシーの保護と管理,インフォームド・コンセントなどを徹底した上で調査協力園を確保したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
調査1:質問紙調査(予備調査)の結果をもとに,質問項目を精査し,0歳6か月~6歳の約1,000 名の乳幼児を対象に,本格的に調査を実施する。調査方法は,各園の担任保育者を通して保護者に質問紙を配布し,数日後回収する。長子のみとし,同じ園に在園しているきょうだいは調査から除外する。家庭における子どものスマートフォン/タブレットゲーム遊びの実態を把握するために,心身や生活面への影響,親のメディア行動,養育観の視点による規定要因などの分析を行う。 調査2:スマートフォン/タブレットゲームと従来のコンピュータゲームとは,コントローラーとタッチパネルの違いがある。そこで,目と手の協応や空間認知技能に着目し,乳幼児の視知覚技能とスマートフォン/タブレットゲームとの関係を明らかにする。具体的には,感覚運動能力と空間認知能力を測定する標準検査,スマートフォン/タブレットゲームで遊んでいる様子の映像を眼球運動測定装置を使って記録する。
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