2015 Fiscal Year Research-status Report
子育て期の女性のための中長期的キャリア形成支援プログラムの開発と評価
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26350338
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Research Institution | The SANNO Institute of manegement |
Principal Investigator |
荒木 淳子 産業能率大学, 情報マネジメント学部, 准教授 (50447455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朝美 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 講師 (70568724)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子育て期女性 / キャリア展望 / 仕事と家庭の両立 / マネジメント / デジタルストーリーテリング |
Outline of Annual Research Achievements |
子育て期の女性のマネジメントに関する予備調査を実施するとともに、先行研究の調査や子育て期女性のマネジメントに関する研究会等への参加を行った。 子育て期女性の職場でのマネジメントについては、子育て期女性の仕事と家庭との両立を示す心理的な概念であるwork-family enrichment概念に着目し、仕事を持って働く子育て期女性のキャリア展望、work-family enrichmentと職場上司のマネジメントとの関連について分析を行った。分析の結果、上司のマネジメントには、仕事のフィードバックを行い積極的に育成しようとする「育成」のほか、仕事のやり方や権限を任せる「信頼・権限委譲」、仕事の配分を公平にするなど効率的な業務運営を心がける「効率的な業務運営」、仕事と生活の調和に配慮する「ワーク・ライフ・バランス」等7つのマネジメントがあること、子育て期女性のキャリア展望には、上司のマネジメントとして「育成」が、work-family enrichmentには「信頼・権限移譲」がそれぞれ最も強く影響していることが明らかとなった。以上の予備調査の結果を踏まえ、子育て期の女性を部下に持つ職場の上司向けの研修を実施した。 また、子育て期女性の仕事と家庭の両立を支援するためのデジタルストーリーテリング(DST)のワークショップ実施について、先行研究の整理、予備調査を行った。デジタルストーリーテリングとは、「Windows Movie Makerなどの動画編集ソフトを用い、ナレーショに音楽、イメージ、動画、字幕、特殊効果などを加えて制作された短編の動画作品を指す(西岡2014)。ワークショップは2016年度実施予定であり、ワークショップの概要については昨年度の日本教育工学会全国大会においてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子育て期の女性のキャリア展望、work-family enrichmentと職場の上司のマネジメントに関する調査は、予備調査を実施することができた。その結果、子育て期女性のキャリアには仕事と家庭の両立支援制度よりも上司の関わりが大きいことや、上司のマネジメントが女性のキャリア展望やwork-family enrichmentを向上させることが明らかとなった。今年度は1企業に協力を依頼しており、今年度5月末からインタビュー調査を実施する予定である。以上の点から、2)おおむね順調に進展していると考える。 また、子育て期女性の仕事と家庭の両立を支援するためのデジタルストーリーテリング(DST)のワークショップ実施については先行研究の調査を進め、今年度8月に実施する予定である。デジタルストーリーテリングの実施については、昨年度までは計画段階であり今年度実施する予定である。先行研究の調査があまり進んでいない点は問題であるものの、研究分担者とは数度のミーティングを行い、今年度8月に実施する実践のおおよその内容については合意を得ている。以上のことから、こちらについても2)おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
子育て期の女性のキャリア展望、work-family enrichmentと職場の上司のマネジメントに関する調査は、予備調査を踏まえ引き続き今年度企業調査を実施する。子育て期女性だけでなく、職種、働き方の違いといった多様性の高い職場において、社員のキャリア展望やwork-family enrichmentを向上させ、チームとしての生産性も向上させるようなマネジメントについて分析を行う予定である。すでに調査企業には調査依頼済みであり、今年度5月末からインタビュー調査を実施する予定である。 また、子育て期女性の仕事と家庭の両立を支援するためのデジタルストーリーテリング(DST)のワークショップ実施については先行研究の調査を進め、今年度8月に実施する予定である。ワークショップでは、仕事を持って働く子育て期の女性に協力してもらい、後輩の女子大生に自分の仕事と家庭について語るDSTを作成してもらう予定である。実践の前後にアンケート調査を実施するほか、事後にインタビューを行い、実践の評価を行う。事前事後の変化やインタビューデータを分析した結果は、今年の日本教育工学会で発表するほか、日本教育工学会の学会誌に論文として投稿する予定である。 ワークショップ実施について協力者が得られなかった場合に実施が延びる可能性はあるが、その場合には知り合い等を中心に協力者を集めることで、できるだけスケジュール通りに研究を進めたいと考える。
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Causes of Carryover |
企業調査について2015年度に実施する予定であったが、質問項目の作成や仮説構築のために予備調査を実施する必要があることから、今年度の実施としたため。今年度は一企業より研究協力が得られることから、一企業の複数職場での比較を行う予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力の得られた企業において、質問紙調査(質問項目70項目程度、回答者数300名程度)を実施する。質問紙の配布、回収、データ入力は研究協力者である株式会社ビジネスリサーチラボに依頼する予定である。
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Research Products
(2 results)