2014 Fiscal Year Research-status Report
反転授業を導入したジェネリック・スキル向上のための教育基盤構築と学習評価の研究
Project/Area Number |
26350342
|
Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
岩崎 公弥子 金城学院大学, 国際情報学部, 准教授 (50345427)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 陽 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (70350957)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 反転授業 / アクティブラーニング / eラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、学生のジェネリック・スキル向上を目指し、「反転授業」を導入することで教室内のアクションラーニングをより有効かつ効果的にすることである。平成26年度は、後期に2つの科目で反転授業を導入した。1つは、アメリカ社会論(講義形式)、もう1つは、KIT(Kinjo International Training)(演習形式)の授業である。 アメリカ社会論では、一方向的な知識教授型の授業だけではなく、学生自身が問いを立て、それに証拠立てて答えを出すワークを導入した。具体的には、「知識教授」のフェーズを予習動画による宿題で実施し、「知識活用」のフェーズをレポート、ならびに、プレゼンテーションという形で授業内に発表させた。予習動画の閲覧状況のデータ分析から「授業時間外学習の可視化」が可能になり、提出・発表した課題の評価から「反転授業の教育的効果」が明らかになった。しかし、一方で、評価のものさしである「ルーブリック」を活用した評価手法についての課題が残った。今後、評価項目の内容、ならびに、自己評価・他己評価の手法についても検討を重ねる必要がある。 KITでは、プレゼンテーション力を高める回で反転授業を導入した。具体的には、良いプレゼンテーションの分析、プレゼンテーション構成やスライド作成のスキル習得の際に、予習動画を活用した。そして、授業時間内に、発表・評価を実施した。授業評価やアンケートから予習動画の作り方(1つの動画を数分程度のパートに分けて閲覧できるようにした等)について評価を得ることができた。しかし、予習動画の視聴を授業内に数回にわたって促す必要があり、今後の課題となった。 平成27年度は、平成26年度に得た課題について取り組むとともに、様々な規模(中規模、小規模クラス等)の授業への導入を試みたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、反転授業のスキームを(1)授業デザイン、(2)教材開発、(3)アクションラーニング、(4)振り返り、(5)評価の5つに整理し、平成26年度は主に(1)~(3)を重点的に実施する予定であった。しかし、平成26年度は、manabaやGoogle Classroomをはじめ、eラーニングシステム環境が整うとともに、学生の受講環境についても問題がないことから、(1)~(5)までのスキームを2つの科目について実施することができた。 しかし、一方で、利用者の動画視聴のログ分析やアンケート調査などから、授業デザインや評価に対して課題が浮き彫りになった。次年度以降も引き続き、教材のデザインと教育効果への詳細な分析やアクションラーニングの効果的な導入手法、また、評価について、研究を深めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
反転授業導入の主目的は、授業内でのアクティブラーニングを高め、ジェネリックスキルを向上させることである。平成26年度は反転授業の導入により、高い教育効果を得ることが分かった。しかし、その要因が、予習動画の教材編成によるものか、予習動画を導入するタイミング(授業デザイン)によるものか、ルーブリック項目や自己評価・他己評価の手法によるものか、明確にすることができなかった。平成27年度も幾つかの授業で反転授業を導入する予定である。そこで、平成27年度は、PDCAサイクルに基づき、授業のひとつひとつを詳細に分析することで、反転授業と教育効果についてさらに分析を深めていくこととする。
|
Causes of Carryover |
平成26年度は、「物品費」と「旅費」について当初の計画とは異なる使用となったため、物品費については、当初、反転授業の教材制作において必要なパソコンとソフトウェアを購入する予定であった。しかし、動画コンテンツを制作する環境が多様であることから1つに選定することができず購入に至らなかった。また、旅費については、先進的に反転授業およびアクティブラーニングを実践している海外の大学を視察する予定であった。しかし、初年度に反転授業を自ら実践し、課題を見極めたうえで海外視察を行った方が生産的であると考えた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、研究協力者であるハンテンシャとコンテンツ開発ツールについて検討を重ね、研究期間終了後も継続的に予習動画を開発できるシステム環境を整える予定である。また、海外の大学への視察を実行し、その知見を本研究に生かす予定である。
|