2016 Fiscal Year Research-status Report
反転授業を導入したジェネリック・スキル向上のための教育基盤構築と学習評価の研究
Project/Area Number |
26350342
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
岩崎 公弥子 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (50345427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 陽 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (70350957)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 反転授業 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、知識習得を宿題(予習動画)にして専門知識に基づくアクティブラーニングを授業時に実施する、所謂、反転授業(Flipped Classroom)を導入し、その教育効果を検証するものである。平成27年度までは、様々なクラス形態、すなわち、小規模クラス(15名程度)や中規模クラス(60名程度)において、反転授業の導入をおこなってきた。その結果、事前に知識を習得することで質の高いアクティビティが実施できる、e-Learningシステムと併用することで高い教材閲覧率になるなどを明らかにした。 昨年度は、さらに多くの授業において反転授業を導入するため、教材の開発ノウハウの蓄積を行なった。具体的には、情報リテラシーの学びを補完する動画教材を多数制作し、基本的なスキル習得を宿題で、PCを活用した実践を授業で円滑にできるよう整備した。本教材の特徴は、次の3点にまとめられる。 1)数分程度の長さに編集した教材を多数用意する。 2)予習だけでなく、復習でも活用することを前提としたデザインにする。 3)モバイルでも閲覧可能な文字の大きさを使用する。 反転授業の課題の1つに、事前に動画教材を見ていない学生やその内容を忘れた学生への授業時での対応がある。そこで、授業内でも内容を確認しやすくするよう上記3点を工夫点とした。特に2)については、教科書(プリント・冊子)に動画教材のQRコードを印刷することで、いつでも該当する動画教材を閲覧できるようにした。今後、これらの教育効果をはかり、課題を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反転授業には、いくつかの課題があると言われている。1つが、事前に動画教材を閲覧していない学生に対する対応、もう1つが、教材の質の向上である。前者については、教材のデザイン的工夫により解決を見出せることがわかった。後者については、研究計画では動画教材の制作をコンテンツ制作会社に依頼する予定であったが、質の高い動画教材を高頻度で制作するには、授業担当者もしくは補助者が制作するのが望ましいことがわかった。昨年度は、授業担当者や補助者が動画制作のスキルを身につけ、数多くの教材を制作することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間終了後も反転授業を実施し続けるには、動画教材のノウハウを授業担当者もしくは補助者が身につけることが必要である。昨年度、教材制作のスキルを身につけたものの、デザイン(スライドや映像の組み合わせ、ナレーションの入れ方等)については、十分な知識が得られていない。今後は、動画教材のデザインについてさらなる研究を深める予定である。 また、反転授業は、授業時のアクティブラーニングを効果的に進めていくための手法のひとつである。このことから、反転授業を取り入れることで、どのような教育効果があるのか、どのようにして授業を受動的なものから、主体的なものへと展開させることができるのか、質的・量的側面からデータを収集、分析し、研究を深める予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画では、反転授業で活用する動画教材制作を映像コンテンツ制作会社に依頼する予定であった。しかし、授業担当者、ならびに、補助者が制作スキルを身につけたため、制作費用を大幅に軽減することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度は、授業担当者が映像スキルを身につけることができたため、数多くの教材を制作することができた。しかし、教材デザインの観点からは十分でない点がある。そこで、次年度は、動画教材の閲覧ログをとるとともに、学習の理解度を確認することで、よりよいデザインを探る。 さらに、評価が難しいジェネリック・スキルの達成度を定性的、定量的に測定する。 これら2点の解析・分析のための環境整備ならびに分析のために助成金を使用する予定である。
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