2015 Fiscal Year Research-status Report
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26350363
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中村 治 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10189029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新宮 一成 奈良大学, 社会学部心理学科, 教授 (20144404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 岩倉 / 癲狂院 / 保養所 / 金沢 / 奄美 / 精神病者監護法 / 精神病院法 / 代用精神病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
明治期以降における精神障害者受け入れの中心であった岩倉病院(1884 年~1945 年) の事務資料、会計資料、患者入退院簿、写真などを複写することが研究の出発点になるが、27年度中に資料のかなりの部分の複写を終えることができた。 地域で患者を預かることと岩倉病院の関係を考えるうえで、地域の一般家庭で患者を預かっていた「保養所」と呼ばれる所について解明を進める必要があるが、その「保養所」が岩倉とともに多くあった金沢の場合を調べることにより、「保養所」と呼ばれる所がいつごろからどういう理由で設立されるようになったのか、どのような人が入所していたのか、病院と「保養所」の関係はどのようであったのか等についてある程度の見通しがたつようになった。そしてその見通しのもとに、2015年7月にウィーンであった第34回International Congress of Law and Mental Healthで‘Guesthouses for mentally ill people in Iwakura, Kyoto, Japan and law'として発表すると、評価され、Journal of Psychological Science, vol.2,no.1(January 2016)に‘Family Care of Mentally Ill Patients in Iwakura, Kyoto, Japan'として掲載された。 また‘Patient Work and Family Care at Iwakura, Japan, c. 1799-1970’がErnst Waltraud ed.‘ Work, psychiatry and society, c.1750-2010'(Manchester University Press, 2016のpp.182-193に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金沢に精神病者保養所があったということは知られていたが、資料もなく、解明できないでいた。しかし資料が少し出てきたことに加え、かつての保養所の関係者から話を聴くことができ、保養所」と呼ばれる所がいつごろからどういう理由で設立されるようになったのか、どのような人が入所していたのか、病院と「保養所」の関係はどのようであったのか等についてある程度の見通しがつくようになり、岩倉の保養所と比較検討できるようになった。その結果、医療を施しているのではないが、病院よりも地域と密接な関係を持っている保養所というものがなぜ存在できたのか、保養所は病院とどこが違ったのかを考えることができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
岩倉病院関係資料のデジタル複写を終え、デジタル複写を終えた岩倉病院患者入退院簿、戦前の金沢の新聞に出ている岩倉病院や保養所の広告、金沢に保養所ができる前に精神病者を受け入れていた小野慈善院の調査などから、どのような地域のどのような患者が岩倉病院、金沢の小野慈善院、岩倉や金沢の精神病者保養所にやってきたのかを分析し、病院と保養所が精神医療においてはたしたそれぞれの役割、地域において患者を看護していくうえで必要なことなどについて考えていきたい。また、国際学会などで情報を発信し、外国の研究者と交流することにより、地域における患者の看護について外国との比較検討を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
岩倉病院関係資料の複写がまだ終わっておらず、その分析も途上であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
複写を終え、分析を進めていきたい。
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Research Products
(15 results)