2016 Fiscal Year Annual Research Report
Interaction of Swedish medical theory with health, education and welfare system in neurodevelopmental disorders
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26350368
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
小野 尚香 畿央大学, 教育学部, 教授 (70373123)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スウェーデン / 就学前 / 特別支援教育 / 専門職 / 自閉スペクトラム症 / 学習障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経発達症群をめぐるスウェーデンの医学理論と保育・教育・福祉システムとの相互作用についての文献研究と教育・保育現場での参与観察および専門職に対するインタビュー調査を進めた。 文献研究としては、神経発達症群あるいはそれに類する状態に対する、幼児期の支援に大きく影響を与えると考えられるE. Fernellらが2010年~2015年に発表した疫学研究論文を中心に整理して検討した。その中でも、ストックホルム地域の自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる208名の幼児(調査開始時)についての経年的な前方視的研究を解析した。それによると、ASDと診断が下されても、診断がついた年齢、ASDのタイプ、知的発達のレベルなどにより、予後が異なることや、神経発達症群のカテゴリーの中で診断が変更されることさえある、つまり幼児期の診断には、ある程度の不確実性が伴うことが分かった。 現地視察としては、基礎学校(日本の小・中学校に相当)2校におけるディスレクシアへの対応および就学前学校7校における教育・保育的ニーズのある幼児への指導・支援について視察し、参与観察とともに特別支援教育担当教員ならびに教育委員会の特別支援教育コーディネーターにインタビュー調査を行った。調査の論点は、特別支援教育の理念と具体的な指導・支援法である。 担当する就学前学校を定期的に巡回している特別支援教育コーディネーターの役割は、①教員への直接指導(スーパービジョン)、②神経発達症群などの基礎知識の教員研修であり、特別支援教育コーディネーター自身が、他領域とくに医療専門職からスーパーバイズを受け、医学的な知見を保育・教育の場に反映させ、それが一つの解決となっていることが明らかとなった。 医学の知見をどのように保育や教育活動に活かすことができるのか、保育・教育の現場の専門職と協働しながら、日本においても研修などを通して模索している。
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Research Products
(10 results)