2017 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of amature naturalists in Japanese zoology
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26350373
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
川田 伸一郎 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (30415608)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学史 / 動物学 / 標本商 / 採集人 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は本研究課題を一年延長して,28年度までに完了できなかった論文執筆及び関連する文献調査を行った. 成果としては,まず28年度末に執筆投稿していた総説を出版できたことがあげられる.これは研究期間を通じて調査した文献資料について,哺乳類に関する内容をまとめたもので,日本にまだ「哺乳類学」という言葉がなかった明治時代に,「動物学」の一部としてどのように哺乳類に関する知見が広められたかを総覧した.本課題でテーマとして扱った人物であるアラン・オーストンとその採集人である折居彪次郎・長聖道・勝間田善作といった人物の解説,及び同じくアマチュア・ナチュラリストとして著名なヘンリー・プライアなどについて,本課題において明らかにされた内容が網羅されている. また,調査の過程で明らかになった内容として,韓国の大学で動物学を教えた森為三と日本の農商務省で働いた岸田久吉に関する標本及び文献資料の調査を行い,その成果を論文としてまとめた.森に関する論文は英国自然史博物館が所蔵する朝鮮半島産のテンとムササビのタイプ標本についてのもので,分類学的な意義も高いと考えられる.岸田に関する論文は現在投稿中であるが,台湾産食虫類についてのものである.いずれの人物についても哺乳類を専門とする研究者ではなく,広く動物学を探求した学者である.詳しく書かれた伝記は執筆されたことがないため,人物像や略歴についても盛り込んだ内容となった.
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