2015 Fiscal Year Research-status Report
黒曜石水和層法による異なる気候帯における先史遺跡の年代推定
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26350374
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中沢 祐一 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70637420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 黒曜石 / 水和層 / 年代 / 考古遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 鹿児島県の更新世末~完新世初頭の遺跡より採取した黒曜石のサンプルについてプレパラート法による水和層の観察と計測を実施した。定塚遺跡、桐木耳取遺跡、御仮屋跡遺跡のサンプルについては計測値が明確になり、層内・間のばらつきの程度が明らかとなった。 2 北海道、長野、鹿児島の多数の黒曜石産地から得られた黒曜石を研究協力者へ依頼し、促進水和実験を行った。その結果から産地間の水和速度の相対的な違いが明らかとなった。 3 北海道の後期旧石器時代の遺跡(旧白滝3遺跡)より黒曜石サンプルの抽出を行った。サンプルは報告書作成の作業で行った母岩ごとの単位から抽出した。サンプルの内、約半数をプレパラート化し、観察・計測を行った。その結果、層位的に下位に位置する石器群の水和層厚は上位に位置する石器群の水和層厚よりも有意に厚くなることが確認できた。また同一層位内の石器群でも母岩の間で水和層の厚さに有意な差があった。 4 SIMSを用いて黒曜石の含水量を計量した。サンプルは鹿児島県建昌城跡から得られた資料を用いた。サンプル間で含水量のばらつきがあることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度プレパラート化できなかった鹿児島県の遺跡より抽出したサンプルを観察・計測を進め、新たに抽出した北海道の遺跡からのサンプルについても50%については観察・計測を行うことができた。含水量の測定も行い、今後の見通しを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まだプレパラート化していない資料が一部残されているため、それらを作成し水和層の観察と計測を実施する。水和層厚のばらつきに含水量とともに黒曜石の化学組成の違いが関与していると考えられることから、元素組成の分析も行いたい。
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Causes of Carryover |
サンプルが多いため一部のサンプルの処理が中途となってしまう見込みから、資料の一部を次年度に収集する予定のサンプルと合わせて処理することが効率的であると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の繰り越し分は、次年度の資料化のために用いることとする。
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