2014 Fiscal Year Research-status Report
空間情報データベースによる文化財の災害被害予測の高度化及び防災計画策定への応用
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26350384
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
二神 葉子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, その他 (10321556)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文化財防災 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、文化財の所在地及び属性に関する空間情報データベースと、自然災害、特に地震や地滑り、洪水、台風による文化財の日債履歴、これらに加えて、各機関から提供されている自然災害の将来の発生予測の情報との連携を通じた、文化財の災害被害の軽減に対する文化財データベースの効率的な活用方法の提案である。具体的には、これまでに構築してきた文化財GISデータベース及び確率論的地震動予測地図を基礎に、地震以外の自然災害の情報とも連携させ、総合的な文化財防災のためのリスクコミュニケーションに貢献するような地理情報データベースの構築と提供を試みる。さらに、このような空間情報データベースとの連携により、世界遺産にリスト記載への推薦書や保全管理状況報告書のような、簡潔でわかりやすい説明が求められる場面においても活用可能な防災計画の策定を目指す。 平成26年度の実施項目は下記のとおりであった。 1.災害ハザードマップの収集:全国を網羅した地震や地滑りに関するものや、地方自治体レベルで作成されている洪水に関するものも含め収集した。国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、洪水や津波、火山などのハザードマップを市町村ごとにリンクし閲覧を可能にしている。ただし、提供されている形式はPDFファイルのため、位置情報を与えてGISで利用可能なシェープファイルに変換する必要がある。そこで、簡易的な閲覧のためにPDFファイルに国指定文化財の位置をプロットする一方で、順次ハザードマップの画像を取り込んでシェープファイル化している。 2.国指定文化財GISデータベースの更新:新指定の文化財建造物及び指定品を収蔵する博物館等の公的施設について、構築済みのGISデータベースに入力し、最新のものとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地方自治体で作成され、公開されているハザードマップが、過去のレビュー時に比べ種類・件数ともに増えた一方、GISで利用可能な形式ではないことから、収集と形式の変換の作業が遅れていることが理由である。基礎的な情報収集が遅れているため、他の調査内容の進行にも影響を及ぼしている。
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Strategy for Future Research Activity |
ハザードマップの収集とGISデータベース化にはまだ時間を要するものの、基礎的な情報として必須であるので、今後も継続して実施する。一方で、既存の公開GISデータベースの活用についても検討を行う。 国宝文化財の地震への対策は、2011年に実施したアンケートにより1割程度しか実施されていないことが分かっている。収蔵施設では建物内での位置の変更あるいは収蔵施設自体の変更も理論的には可能であるため、実現可能性の観点から、収蔵施設の属性についての調査を中心に進めていくことを検討している。 外国での調査については、ハザードマップの活用事例と活用の可能性に関して実施する予定である。
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Causes of Carryover |
基礎データの収集に時間を要し、国内外での現地調査を実施しなかったため、旅費を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度に予定していた現地調査の実施に使用する。国外での調査は、イタリア及びタイを予定している。
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