2015 Fiscal Year Research-status Report
空間情報データベースによる文化財の災害被害予測の高度化及び防災計画策定への応用
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26350384
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
二神 葉子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, その他 (10321556)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文化財防災 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 国際会議での報告 平成27年10月22日~23日に神戸大学文学部で開催された国際会議「文化財防災体制についての国際比較研究」において、「文化財の地震危険度評価とその活用-文化財GISデータベースによる-」と題して報告を行った。報告では、これまでに行った文化財GISデータベースの構築とハザードマップとの連携、現在ウェブ等で公開されているハザードマップの活用及び地域の文化遺産を把握する取り組みについて紹介した。また、イタリアで構築されているCarta del Rischio del Patrimonio Culturale(文化財危険地図)に関するCasrlo Cacace氏(保存修復高等研究所)の発表について、文化財保護制度のわが国の状況との差異に関連してコメントした。 2. 聞き取り調査の実施 平成28年1月に、タイ・バンコクの政府機関及び政府間機関において、予備的な聞き取り調査を実施した。文化省芸術局では、情報技術室で文化遺産GISの構築及び防災分野での活用について、建造物部門でバンコク国立博物館で新たに建設している収蔵施設等の災害対策や、建物の耐震基準の設定について話を聞いた。また、東南アジア文部大臣機構考古芸術事業(SPAFA)では、2011年のアユタヤの洪水後に立案中の洪水対策を、歴史公園全体の保全管理計画に組み込む手法について聞いた。さらに、無形文化遺産を管轄する文化省文化振興局では、アユタヤの洪水後に無形文化遺産に関して支援の要否と必要な場合その内容について問い合わせを行ったことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文化財GISとハザードマップとの連携に関しては、地震ハザードカルテなど公開情報との連携の必要性が考えられたが、まだ実施には至っていない。 海外でのケーススタディについて、昨年度はタイでの聞き取り調査を実施できたものの、予定していたイタリアについては、来日した専門家の話を聞くにとどまり、現地での調査を実施できていない。また、タイに関しても、防災関係の専門機関は調査対象外であったことから、防災に関する包括的な調査とはならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
個別の国指定文化財について、地震ハザードカルテをはじめとした公開済の災害関連情報と位置情報により連携することで、災害に対する総合的な脆弱性の評価を実施し、必要な対策について検討を行う。 タイでは、前回の調査に基づき、より具体的な災害対策について調査を深めるとともに、上記の文化財GISについても情報提供し、活用の可能性について検討する。また、イタリアに関しては、現地に赴き文化財GISや防災への活用について、保存修復高等研究所をはじめとした機関での現状について調査を行い、研究者が構築している日本の国指定文化財GISデータベースにも必要に応じて反映する。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査について、タイでの聞き取り調査を実施したものの、イタリアについては来日した専門家への聞き取りを実施し、現地調査を実施していないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度はイタリアでの現地調査及びタイでの再調査を実施する。また、データ入力作業について補助者を雇用する。
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