2015 Fiscal Year Research-status Report
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26350386
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
伊東 隆夫 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (70027168)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 木彫像 / 樹種同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2015年12月にフランス、パリにあるCernishi美術館、リヨンにあるConfluences美術館を訪問し、樹種の調査に関する共同研究について打ち合わせた。同時にベルリンにあるベルリン民族博物館およびアジア美術館を訪問し共同研究を申し入れた。事前の連絡で前向きであったベルリン民族博物館では7体のdeity statueおよび3体の仏像彫刻から木片試料の提供を受け、日本に持ち帰った。そのうち3体の仏像彫刻の試料を調べた結果、1体目の水月観音からは胴部、両腕部からの3試料を採取し、3試料ともにキリ属の一種、他の2体はともにLuobenで、2体ともにヤマナラシ属から造像されていることが判明している。deity statueの7体のうち5体はサワグルミ属、1体はクスノキ科、残り1体は散孔材という結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究課題では中国由来の木彫像という特殊な文化財からの研究用試料の確保が最大の課題となるが、幸い神像彫刻については予想外に多くの試料が採取できている。さらに、仏像彫刻についても欧米の美術館の協力により試料が収集できつつある。一旦試料が確保できれば樹種同定はそれほど難解であるとは考えにくい。これらの点を考慮すれば順調に研究が進展しつつあると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、米国のMuseum Fine Arts Boston, Isabella Stewart Gardner Museum, Yale University Art Gallery, Museum of Princeton および Harvard Art Museum などの美術館と折衝し、協力を取り付け、今秋の9月に調査に出かける予定である。また、12月にはフランス、リヨンにあるConfluences美術館およびベルリンにあるベルリン民族博物館を訪問し、それぞれ所蔵されている中国由来のdeity statueおよび仏像彫刻の調査を行う予定である。これと並行して、すでに試料を採取した木彫像の樹種同定を進める。年が明ければ3年間の成果のまとめに入る予定である。
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Research Products
(3 results)