2016 Fiscal Year Research-status Report
拡張現実技術を利用しデジタル展示と展示原本とを連続的に融合するための基礎技術開発
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26350393
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
北村 啓子 国文学研究資料館, 古典籍共同研究事業センター, 准教授 (60204913)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Augmented Reality / DIgital Exhibition / 拡張現実 / デジタル展示 / 文化遺産 / 古典資料 / デジタル画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
拡張現実技術(AR)を利用した具体的なデジタル展示コンテンツの開発に注力した。 『新古今和歌集』他6作品にて,スマホ・タブレットをかざした箇所の翻刻を表示するコンテンツを開発した。カメラを通した対象資料に重ねて表示するため、資料を直接読む・鑑賞する妨げにならず、背景を透過にし資料の該当箇所に並べて読み易く、好きな場所に翻刻を表示させる自由度もある。興味ある箇所に特定した情報が個々の端末に出てくる利点もある。情報端末に不慣れな人のために、モニタ上にマウスクリックで順次翻刻を表示する機能も併設し、さらにARの優位を確認できた。 『東海道分間絵図上下巻』にて,スマホ・タブレットを宿場名にかざすと、その宿の歌川広重『東海道五拾三次』,館蔵『東海道五十三駅鉢山図絵』,著名な宿場絵図の表示、宿場の解説、現在の写真・古写真など参照情報のあるインターネットサイトヘリンクして宿場の多彩な情報を提供するコンテンツを開発した。 館展示では原本の代わりにデジタル画像上で行ってきたが、展示原本を直接かざしす実験も行った。照度不足、情報端末が影を作るなどいくつかの課題があり、展示方法との調整が必要であることがわかった。さらに,展示番号やQRコードを使わないガイドシステムの1手法とできる手応えを得た。 館蔵重要文化財『春日懐紙』のデジタル画像を反転しデジタル処理を行うことにより、紙背に描かれた「春日本万葉集」の文字を浮かび上がらせて見せた。紙背に残る墨映の例を、一方のデジタル画像を反転し表面の墨字をデジタル処理で消すと、墨映が浮かび上がりもう一方の表面墨字が映り込んだことが確認できることを提示した。 研究成果の論文投稿・研究会報告を行った。国際会議にてAR先端研究者と研究・技術交流を行った。電子ペーパの最新動向調査と研究・技術交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
体調を崩し療養。回復後本科研に取組んでいるものの、計画の遅れを取戻すことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
AR技術をデジタル画像だけでなく、現実(Reality)の原本に適用していくため、展示方法の調整を行い、常時運用可能な技術として確立する。また、ARを入力(対象選択)として使用するガイドシステムを開発し、館展示での利用に供する。 H29年度は特別展を予定しているので、 さらに新しいAR技術を利用したコンテンツを開発する。 論文作成・学会での報告に努める。さらに人文系や美術館・博物館へもAR技術の応用例を紹介していく。
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Causes of Carryover |
若干遅れが生じたため、計画のいくつかには着手できなかったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高精細画像の処理を効率よく行うために高性能グラフィックスを持つWS、展示の品質を上げるため、高機能・高性能の表示デバイスを導入する。 研究成果報告に努め、学会、国際会議・シンポジウムなどでの発表に出向く。
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