2014 Fiscal Year Research-status Report
科学系博物館における資料の三次元デジタルデータの教育利用に関する実践的研究
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26350394
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
有田 寛之 独立行政法人国立科学博物館, 経営管理部, 係長 (70342938)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 3Dデジタルデータ / 3Dプリンタ / 3Dデジタルスキャナ / 知的財産権 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究の課題と目標を明確にするため、事例調査を行った。博物館における三次元(3D)デジタルデータの活用について、米国スミソニアン国立自然史博物館と九州大学総合研究博物館へ取材を行った。収集した資料だけでなく、調査研究の過程なども3Dスキャンしてアーカイブすることの重要性が明らかになったほか、スキャンしたデータの権利が従来の知的財産権の枠組みに当てはまらないため、それぞれの施設で独自のガイドラインを設けている現状などが明らかになった。 (2)3Dデジタルデータを博物館の展示や学習支援で手軽に用いるための技術動向を調査した。家庭用の3Dプリンタは性能向上と低価格化が一段落している一方、3Dデジタルスキャナは今後の機能向上、低価格化の可能性を持つことが分かった。また、プロジェクタについては照明と一体型になったものなど多様化が進み、屋内で展示資料に3Dデータを簡易的に投影することは難しくないことが分かった。また、3Dスキャナ、3Dプリンタに附属のソフトウェアと、インターネットでの3Dデータ共有サイトがすでに構築されており、新たなオーサリングのためのシステム開発は必要ないことも明らかとなった。 (3)学習プログラムにおける3Dデジタルデータ活用について検討を行った。一般成人については博物館の研究活動において3Dデジタルデータの活用場面が増えていることを取り上げることで、社会における新たな技術がどのように活用されているかの理解が促進されること、学齢期の世代については3Dデジタルデータの活用場面として、博物館で人気の高いレプリカづくりを題材として従来の手法と3Dプリンタを使った手法を比較することで、博物館における活動への興味関心の高まり、研究活動への理解促進が期待されるため、両者を組み合わせ、親子向けの体験プログラムを次年度に実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、科学系博物館が資料の収集や調査研究の過程で得た3Dデジタルデータを、展示や学習プログラムで人々の学習ニーズに応じ効果的に活用する手法を開発することである。 博物館における3Dデジタルデータの活用について、スミソニアン自然史博物館と九州大学総合研究博物館への取材から最新の活用状況、データの取り扱いに関するか大東が明らかになったほか、市販の機器やソフトウェアを活用する方向性も見いだすことができた。次年度以降試行する学習プログラムの企画についても方針が固まり、今後の研究に向けた方向性と課題が明確となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は恐竜・人類進化を題材とし、研究活動におけるデジタルデータの活用に関連づけた学習プログラムを開発し、国立科学博物館において試行する。 当初予定していた3Dデジタルデータ活用システムについては新規に開発する必要はなく、すでに市販の機材、ソフトウェアの組み合わせで実現できることから、学習プログラム実施時の担当者・参加者による機材の使い勝手をアンケート調査により評価し、その結果を基に、学習プログラムの流れ、機材使用のサポート方法について改善を行う。 学習プログラム参加者の学習効果を、アンケート調査により評価する。アンケートを分析し、学習効果を上げるための難易度や学習目標、対象世代の設定について必要に応じ改良を行う。 本研究のこれまでの成果をまとめ、国内外の学会において発表を行う。
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