2014 Fiscal Year Research-status Report
古気候データベースの構築による中世気候異常期の気候変動の解析
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26350400
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田上 善夫 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (50145661)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気候変動 / 中世気候異常期 / 古気候データベース / 東アジア / 日本列島 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候史料の収集:これまでも行ってきた、六国史などのデータ化・公開されたものや、大日本古記録、群書類従、公家の日記など公刊されたものから、中世気候異常期を中心にした、気候史料の収集を継続した。さらに各地の文書館や古寺社などから、気候史料の収集を行った。また日本周辺でも朝鮮半島の三国史記のようにデータ化・公開されたもの、中国の中国三千年気象記録全集のように公刊されたものから、気候史料の収集を進めた。そのほかにも中国方志、全宋文など豊富な気候情報を含むものなどからも気候史料を収集した。
データベースの整備:収集した気候史料を、各データベースに入力し、さらに諸データベースの統合を進めた。すなわち歴史時代の天候や気候災害等の記録を収集した「歴史気候データベース」、伝統的な民間の防災祈願行事の「祭りデータベース」、防災祈願行事などの行われる地の「神社データベース」、地域住民の防災、豊穣などへの祈願、感謝にかかわる霊場の「霊場データベース」、関連行事の地の「寺院データベース」などの統合を進めた。さらにデータベースに地形、土地利用、気候などを加えて「統合型地理情報システム」を構築して、空間分布を含めた背景を分析できるよう準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
14・15世紀の東アジアの気候災害史料を、日本と中国を中心にして収集し、データベース化して分析することにより、気候変動に顕著な数十年スケールの変動が存在することが明らかになった。その成果は、日本地理学会にて報告するとともに、富山大学人間発達科学部の紀要に掲載された。 また藩日記などから毎日の天候記録を収集し、祈雨記録の収集も進めた。さらに日本と中国の気候災害記録も含めて、データベース化を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究の継続と発展:文書館や古社寺などでの、気候災害や防災祈願行事を含む、気候史料の収集を継続する。また、対象地域の環境に関しての解析が容易となるように、衛星画像データなどもWEB上などより入手しデータベースに加える。
気候史料の分析:データベースを利用する前提として、気候災害に加え、とくに祈雨や鎮風等々の祭祀・祈願行事などの分析を行う。それらの斎行は霊地や名社で行われ現在にも伝わるが、現地調査を含めて代替資料中の気候情報の意義について分析する。また風雲雷雨山川壇として、祭祀・祈願行事、施設などが記される中国の四庫全書などを利用して、東アジアにおける祭祀・行事の、類似性、相互の影響、観念など、地域的差異、歴史的変容について分析を加える。
研究発表など:日本地理学会で研究成果の発表を行うとともに、関係者の意見より研究方法の検討・修正を行う。
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Causes of Carryover |
データベース作成作業などで、多くを自ら行ったため、資料整理のため計上した人件費・謝金の支出が予定よりも僅かに少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ入力作業などで生じる可能性のある不足分について補填する。
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