2015 Fiscal Year Research-status Report
変動地形・表層地質・遺跡地震跡の統合的成果に基づく西暦818年の地震像の復元
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26350401
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
熊原 康博 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60379857)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 活断層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は以下のとおりである. 1)空中写真判読 戦後の大規模な人工改変前に撮影された米軍撮影の縮尺1万分の1を用いて,詳細な活断層分布図を作成した.また,断層変位を受けた地形面を抽出し,トレンチ掘削調査を実施すべき地点を検討した 2)遺跡発掘報告書の地割れ・噴砂跡に関する記載の収集整理 群馬県を対象に,地割れ・噴砂跡の記載のある遺跡発掘報告書を収集した.具体的には,報告書を収蔵する群馬県埋蔵文化財調査事業団に出向き,報告書を閲覧し,該当ページを複写した.新たに5カ所の遺跡から地震起源の地割れ・噴砂跡を見いだした. 3)GISソフトへの入力と解析 ArcGIS上に,5m標高メッシュデータ,活断層のトレース,地割れ・噴砂跡のある遺跡の位置を入力した.これにより,断層からの距離,方向が正確に計測することができた. 4)トレンチ掘削調査の実施 昨年土地交渉を行った群馬県太田市吉沢においてトレンチ掘削調査を実施した.扇状地上に生じた断層崖と判断して掘削を行ったものの,表層地質に明瞭な断層変位は認められず,緩やかに傾斜する土石流堆積物などが認められた.このことから,この崖は人為的に形成された崖と判断し,断層はこの扇状地よりも東部を通ると推定した. なお,太田断層は2015年4月に地震調査研究推進本部により新たに活断層として認定され,今後調査をすすめるべき活断層として報告されている.これは本研究の成果に基づくものである.http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/reg_kanto_05_ota.htm
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野外調査および文献調査はおおむね順調に進んでいる.ただし,論文執筆はやや遅れている.この原因の大きな理由は,昨年4月に発生したネパール大地震に伴い,科研費特別研究促進費「2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査」において,私が変動地形・活断層分野の責任者(分担者)に指名されたことである.この科研は,2015年度のみの単年度の研究期間であるため,そちらの研究活動を優先させた.なお,この科研では,昨年度4回ネパール(合計1ヶ月半)に渡航して野外調査を実施し,調査結果を整理,学会発表をし,成果を国際誌に投稿(その後受理)している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査で太田断層や片品川断層の変動地形学的特徴が明らかになったので,今後は論文執筆を中心にすすめていきたい.また,遺跡報告書の地割れ・噴砂跡の研究も今後進めて行く予定である.
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Causes of Carryover |
昨年4月に発生したネパール大地震に伴い,科研費特別研究促進費「2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査」において,私が変動地形・活断層分野の責任者(分担者)に指名されたため,文献調査や資料整理にかかる費用を執行することができなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
群馬県,埼玉県,栃木県などの遺跡発掘報告書を入手し,地震に伴う地割れ・噴砂跡の記録を複写,整理することを使用計画の主な目的とする.
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Research Products
(1 results)