2017 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental study on the development of mountains and critical slopes
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26350405
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大内 俊二 中央大学, 理工学部, 教授 (00185191)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地形発達実験 / 流水侵食 / 隆起速度 / 透水性 / 剪断強度 / 斜面崩壊 / 発達ステージ |
Outline of Annual Research Achievements |
実験地形の発達を既定する重要な要因と考えられる降水量及び砂山の透水性・強度の影響を検討するために、新たに透水性を前回 (run 38) とほぼ同じ1.37×10-3 cm/s、降水量を約半分の約50mm/hとした実験 (run 39)を行った。実験地形の発達経過自体はこの2回の実験で大きな違いはなかったのであるが、このくらいの透水性の場合降水量の小さなrun 39の方が侵食が強く働きsteady stateにあたる地形の高さが低くなることが明らかとなった。これは、以前に行った透水係数が10-4 cm/sオーダーで降水量を変えた実験の場合(runs 26,27)と逆の結果である。透水性が高く強度が小さい場合(runs 38, 39)は、より透水性が低く強度が大きい場合(runs 26, 27)と比べて斜面の崩壊が容易に起こるために、表面流の運搬能力があれば侵食が速く進むのではないだろうか。また、降水量が多ければ表面流による谷の侵食が速く進み、起伏が大きくなると考えられる。隆起と降雨侵食による実験地形の発達は、3つのステージを経ることが明らかになっており、上昇と低下を繰り返しながらもある一定の高度を維持する「平衡状態」に達するまでのステージ1、2における侵食速度がこの状態に達する高度を決定するようであった。侵食速度は、起伏が大きくなり斜面崩壊の頻度と規模が大きくなるとともに増大し、これがある程度を超えると、斜面崩壊とそれに続く流水侵食による低下が隆起による上昇と釣り合う「平衡状態」に達する(ステージ3)。「平衡状態」の高度はステージ1、2における流水侵食によって決定され、平衡状態の維持に斜面崩壊が大きな役割をはたすことがわかった。実験地形の発達には、この流水侵食の働きを規定する透水性・強度と降水量のバランスが重要であることが明らとなった。
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